火山とは?火山活動、地震、活火山

火山とは?火山活動、地震、日本で地熱発電は普及するのか?

戦後最悪の火山災害をもたらした御嶽山の噴火が記憶に新しい今日。

火山大国日本に住んでいるなら、火山について正しい知識を持っていなくてはなりません。
知らなかった! そもそも火山とは?
実は、「火山なのに火山じゃない!」山が世界にはたくさんあります。
どういうことか? というと、実は火山にも暗黙の定義があるのです。

学者の間では第四紀(258万8000年前まで)以降に活動した火山のみが「火山」として認められます。

つまり「第三紀以前に噴火した山」は、火山なのに火山じゃないという、分類が難しい立場にあるわけです。

日本の有名どころだと、北陸の霊峰「立山」や北アルプスの「穂高岳」、四国最高峰「石鎚山」などが第三紀以前に噴火した山と言われ、一般には火山でない山として認知されています。

地図では火山を赤、その他の山を黒で表現していることが多いので、今のところは地図の表示を頼れば間違いはないでしょう。

一方、明確に山の形をしていなくとも火山と呼称される場合があります。

噴火後に山が陥没した地形「カルデラ」もそのひとつと考えられます。例えば青森県と秋田県に跨る十和田湖も、山体内側が埋もれて作られたカルデラ湖ですから、湖であると同時に火山でもあるわけです。

難しいことを連ねましたが、結局のところ火山は

「マグマの活動によって生まれた自然地形」

というくらいに覚えておけば良いでしょう。

活火山って?

「活火山」は、誰もが一度は耳にしたことがある言葉だと思います。

数十年前まではこれに加え、活動を休止した「休火山」や活動を終えた「死火山」という言葉もあったのですが、ある山の噴火を機にこの2つの呼称は廃止されました。

実はその山こそ、昨年9月に噴火した御嶽山だったのです。

御嶽山は1979年にも水蒸気爆発を起こしています。それまでこの山は一般に死火山と捉えられていました。しかし噴火したことでメディアが挙って「甦る火山」などと報知し、火山の危険性が知れ渡ったのです。

結局1979年の御嶽山噴火を機に、気象庁は休火山と死火山という分類を無効としました。

現在では過去1万年以内に噴火を起こした火山全てを「活火山」、活火山でない第四紀火山を「活火山でない火山」としています。また、活火山は現在の活動状況に合わせてABCの3ランクに分類され、最も活発なAランクには13の火山が登録されています。

日本に住んでいる限り、火山とは向き合っていかなければなりません。

これから噴火のメカニズム、火山災害、火山の魅力等について知識を深めていきましょう。

火山の不思議② どうして噴火するの?

なぜか日本のあちこちにある火山。 そもそも火山活動のメカニズムはどういったものなのでしょうか。

噴火のメカニズム
火山から噴出するのはマグマです。

マグマはどのようにして作られるかというと、元々の要因はプレートの活動なのです。

海洋プレートが沈み込むと、マントルに圧力がかかり、より深い地面から高温のマントル物質が上昇してきます。

ただしこのマントル物質自体はマグマの主成分ではありません。 このマントル物質がプレートと共に潜り込んだ海水を温め、更にこの海水がプレートや上層マントルを融かしてしまうのです。

お湯で即席スープをとかすのと同じイメージです。

そしてマグマは上昇していきます。これはマグマが「液体」であるため、圧力の高い地中では浮かんできやすいからです。圧力がある程度まで下がるとマグマは上昇をやめ、地中にとどまります。

マグマのストックされた場所は「マグマ溜まり」と呼ばれています。

では最終的にどうなったら噴火するのか? ということですが、原因はひとつではありません。

マグマ溜まりに入りきらなくなった分が押し出されることもありますが、決定的な要因は「発砲」にあります。

マグマにはガスが融けています。このガスは本来なら気体なのですが、地面の圧力によって無理やり液体になっているわけです。

言い換えると、圧力がなくなればガスは発砲して「気体」になります。

つまり、火口に穴が開いて圧力が下がるとガスが発砲してマグマの体積が増え、そうすると地面に亀裂が入り更に圧力が下がる……。このサイクルが一瞬にして起こり、マグマが一気に発砲するのが噴火です。

イメージとしては、炭酸飲料のフタを開けたら一気に泡が出てくる、あの様子と非常に似ています。

どうして日本には火山が多いのか?

これは日本が4つのプレートの境界にあるためです。

太平洋プレート、ユーラシアプレート、北アメリカプレート、フィリピン海プレート。 4つのプレートの上に立つ国は、地球上で日本しかありません。

もはや「火山でできた国」と言っても過言ではないでしょう。   ちなみに日本の国土は新期造山帯という、より新しい陸地に分類されます。

新期造山帯では石油が採掘できる場合が多いのですが、日本には石油などほとんどありません。

理由のひとつに、火山活動の熱によって石油が液体として残りにくいから、ということが挙げられます。

工業大国としては非常に痛いですね。   せっかく石油の話をしたので、次回はエネルギーの話をしたいと思います。 よろしくお願いします。

火山の不思議③ ~日本で地熱発電は普及するのか~

日本では石油はおろか、石炭も天然ガスもほとんど採れません。

先進国にとって、エネルギーが自給できないのは大きな痛手です。

なぜ地熱発電は進まないのか
確かに日本は石油など埋蔵エネルギーに乏しい代わりに、多くの地熱エネルギーを有しています。

火山大国ならではの環境ですね。

そこで誰もが思う「地熱発電をすればいいじゃないか!」

しかし、そう簡単にはいかないのです。

ご存知の方も多いでしょう。理由のひとつに、

【地熱が豊富な場所は基本的に観光地である】

というものがあります。

火山活動は周囲に独自の景観をつくります。そして、温泉に代表される恵みを与えてくれます。

よくある例を取り上げると、

「温泉地の近くに発電所を造れば、源泉に影響が出る」

「風景を損なう発電所は国立公園に建てられない」

なんて議論が全国各地にあるのです。

観光地にとってすれば、何のメリットもありませんよね。

また、

【安定供給が見込めない】

【火山噴火で被害を受ける】

【地質調査に莫大な予算がかかる】

これらの問題も解決していません。

特に安定供給への不安は電力にとっては致命的です。

もしも地熱エネルギーが突然ストップして電気が作れなくなった、なんてことになれば

日本経済はたちどころに麻痺してしまいます。

今のところ、地熱発電は諸刃の剣といっても過言でしょう。

地熱発電は未来永劫注目されないのか

2011年の原発事故で地熱発電は大いに注目されました。

地熱を電力にするにはそれなりの犠牲が必要です。

しかし日本にはもはや火山エネルギーしか残されていない。多くの日本人がそう考えたことは確かでしょう。

実は今、少しずつ地熱エネルギーが前進しています。

これまで扱ってきた地熱発電とは少し勝手が違いますが、「蒸気発電」という仕組みです。

温泉街ではよく湯煙が立っています。

そういった蒸気を使用する、言わば小規模地熱発電です。

これなら大きく景観を損なうこともありませんし、そもそも温泉の蒸気を使うわけですから

源泉が枯れる心配なんてありません。

発電量は原発の10000分の1程度と可愛いものですが、日本のいくつかの温泉旅館がこの蒸気発電を行っています。

地熱発電は非常にリスクの大きい発電方法です。

しかし日本が保有している大地を活かすためには、無視できないエネルギーでしょう。

既にインドネシアなど海外では地熱発電へ注力がされていますから、日本がそれを出来ないということはありません。

数十年後の電力業界はどうなっているでしょうか?

火山の不思議【番外編】  ~口永良部島の噴火~

5月29日の噴火は、噴煙が高度9000mまで立ち昇る激しいものでした。

どういう噴火だったのか?
今回の災害は火砕流を伴うマグマ噴火で、御嶽山の水蒸気爆発とは違うものでした。

どういった点で違うのかというと、御嶽山が爆発した要因が「水の気化」だったのに対し

口永良部島新岳の噴火は純粋なマグマ活動、つまり「マグマの成分が発砲したもの」だったのです。

噴煙高度9000mというのは、平成の火山災害の中では比較的大きなものになります。

加えて火砕流が山頂から海までひと通り流れ下ったとなると、

今のところ大きな爆発は1回にとどまっていますが、大惨事になっていたかもしれません。

島民全員が生存できたのは、

火砕流が居住区域に流れ下らなかったことに加え、

防災・避難体制が行き届いていたからでしょう。

島の方々ほぼ全員が番屋ヶ峰という高台に避難されている様子には驚かされました。

逆に問題と思われるのは噴火予測です。

日本の火山全体に監視体制を整えること、

ひいてはそれらの火山で完璧な噴火予測をすること

日本人は痛感したでしょう。現在これが不可能なことは、火を見るより明らかなのです。

また、報道にも違和感を覚えます。

噴火警戒レベル2の箱根山を連日報道していたら、全く違う場所で噴火が起きた。少しズレているのでは?

そう思われた方も多いでしょう。

噴火時点での新岳の警戒レベルは3でした。

また、現在レベル2の火山も吾妻山や草津白根、阿蘇など全国に7ヶ所あります。

箱根山だけが危険だったわけではない、そう思うと怖いものです。

今後の口永良部島の噴火活動は

鹿児島県の南方沖は、元々火山活動の活発な海域です。

海底カルデラを始めとして、非常に多くの火山が存在します。

7300年前には付近の鬼海カルデラが破局噴火と呼ばれる激甚災害を起こしています。

しかし今後、口永良部島においていきなり大規模な噴火が起こる可能性は低いでしょう。

今回の噴火は、昨夏から継続的に供給されたマグマが何らかの原因で発砲し、噴出したものと思われます。

同程度かそれ以上の噴火が起こるなら、短期間で大量のマグマが供給される前兆があるはずです。

その規模の前兆ならば、現代の観測体制でも予知が可能ですから、

「いきなり大噴火した」

ということは考えにくいのです。

ただしそれは事前の予知が可能というだけで

マグマがこれ以上供給されるか否かは、誰も知る由がありません。

避難が解除されて島民が口永良部島へ戻れるのは、かなり先になると思われます。

いずれにせよ、被害が出ないことを祈るばかりです。

火山の不思議④ ~いくつもある火山災害~

火山弾、火砕流・・・

噴火のニュースがあるとそのような用語が飛び交いますが、一体どのようなものなのでしょうか?

火山における災害
ここでは手っ取り早く、箇条書きで紹介していこうと思います。

1、火砕流

一番よく耳にする火山災害だと思います。
「流」というからには液体が流れ下る様態が思い浮かびますが、実際はそうではありません。
火砕流の正体は「火山砕屑物が周囲の空気やガスを巻き込んだもの」です。
火山砕屑物(さいせつぶつ)とは何か?ということですが、これは火口から噴出した固形物の総称で、火山灰もこれに該当します。
この火山砕屑物は火口から出てきた時点で細かな破片になっていますから、やがて空気全体に散らばっていきます。
破片を含んだ空気は重たくなるため、結局は山の下へと流れ下って行くというわけです。
速度は時速100~300kmにもなります。

2、火山弾

火山弾も非常に危険です。
火山弾とは溶岩の破片のうち、直径が6.5cm以上のものを示します。
大きさはまちまちですが、直径10mもの火山弾が飛行することもあり、それが何百メートルも飛んでいきますから、改めて噴火のエネルギーの大きさを知ることができます。
飛行距離もさながら、速度は時速300kmを超えることもよくあります。

3、火山ガス

噴火の時でなくとも、常に蒸気を吐き出している火山はたくさんあります。
主成分は水蒸気や二酸化炭素など身近なものですが、
他にも二酸化硫黄や硫化水素、一酸化炭素を含みます。
火山ガスはこのような火山特有の混合気体のことを言います。
生命にとって有害なことが多く、火山ガスの発生している場所では植物があまり育ちません。

その他の災害

噴火後や遠く離れた地域でも安心はできません。

4、火山泥流

日本では「土石流」と報道されます。
火山灰など噴出物が雨によって一気に斜面を流下する現象です。
問題なのはその破壊力です。
通常の洪水とは違って、火山灰が押し寄せてきます。
火山灰は非常に密度が高いですから、水と同じ速度で流れてくれば、洪水の何倍もの力を受けることになります。
海外ではラハールとも呼ばれています。

5、火山灰

離れた地域でも火山灰には気を遣う必要があります。
火山灰には非常に細やかな火山鉱物が含まれています。これはかなり固い物質です。
例えば火山灰のついた車を雑巾で拭いたりすると、たちまち傷がついてしまいます。
なので、火山灰のついた車は真水で洗い流しましょう。
また、火山灰は目に入ると角膜など傷つけますので、非常に危険です。
その際はゴーグルをつけるなど対策をして外へ出ましょう。

火山の不思議⑤ ~1991年の雲仙岳噴火~

2014年の御嶽山の噴火が起こるまで、雲仙岳は戦後最大の死者を出した火山災害でした。
どんな山か?
雲仙岳は長崎県の島原半島の中央に位置する火山です。

最高点は1991年の噴火により新しく形成された「平成新山」の1486m。

山頂への登頂は現在でも禁止されています。

粘性の強いマグマが湧きあがっているため、溶岩は山体からあまり流れ出ず、

溶岩ドームという構造が山頂に作られています。

ちなみに私の執筆している火山シリーズのアイキャッチ画像は雲仙岳のものです。

山の上部に溶岩が固まっているのが見て取れるかと思います。

この火山は近世から急速に活動している山で、

江戸時代には「島原大変肥後迷惑」という大災害を起こしています。

これは、火山活動に伴って雲仙岳近くの「眉山」という山が崩壊したことによるもので、

崩壊した土砂が海へなだれ込み、大波を起こしました。

熊本県に達した波の高さは20mになったといいますから、甚大な災害だったことが分かるでしょう。

こちらの火山災害は、有史以来での最大の死者数を出しています。

一方、雲仙岳は温泉など資源を育む山でもあるのです。

雲仙温泉を初めとして、湾岸には小浜温泉もあり、年間を通して多くの観光客で賑わっています。

2009年には日本で初めてとなる世界ジオパークに指定されました。

1991年の噴火

雲仙岳噴火では死者のほとんどが火砕流に巻き込まれる形で被害を受けました。

なぜここまで被害が拡大してしまったのかというと、以下の原因が挙げられます。

・当時日本でも火砕流に対する認知が低かった

・3日以前に小規模な火砕流が続いており、人々の間に油断が生じていた

・危険区域でも「避難勧告」までしか発令されず、避難をしない人もいた

・報道陣が危険区域へ立ち入り撮影を試みていた

・報道陣を監視するための消防団や警察官たちが何人も危険区域へ入っていた

この結果、6月3日の火砕流で43名の死者と9名の行方不明者を出す事態となったのです。

その中には火山学者のクラウド夫妻もいました。

雲仙岳の火砕流は「ムラピ型」と呼ばれるもので、

噴火により形成された溶岩ドームが次の噴火で押し出され、崩壊することによって

他の火山噴出物とともに流れ下る様態のものです。

火砕流が映像として鮮明に捉えられたのは、世界初でした。

現在、雲仙岳の活動は完全に休止している訳ではありませんが、おおむね落ち着いています。

しかし、この山の災害が生んだ教訓は非常に大きなものです。

当時から数えて24年の月日が経ちましたが、この教訓を忘れないでいたいものです。

火山の不思議⑥ ~2014年の御嶽山噴火~

2014年9月、御嶽山が突如噴火し多くの犠牲者を出しました。

どんな山なのか
御嶽山は標高3067mの火山です。

北アルプスに含むとの意見もありますが、アルプスとの間に川が流れているため、一般には独立峰とされます。

3000m峰では最も西に位置し、霊山として古来より信仰されてきました。

裾野はとても大きく、日本の独立峰では富士山に次ぐ体積を誇っているとのことです。

四季の移ろいを感じられる山であり、噴火当時も紅葉を眺めに多くの登山客が御嶽山を訪れていました。

麓からはロープウェーがのびており、子供でも山頂近くまでアクセスすることが可能です。

この御嶽山なのですが、元々は一般に死火山と認知されていました。

しかし1979年に突然活動を始め、日本の活火山の定義見直し・「休火山」「死火山」の用語の廃止という措置がなされたのです。

そして御嶽山の脅威が忘れかけられた2014年、悲劇は起きました。

2014年9月の噴火

御嶽山の噴火により最終的に63名の死者と行方不明者が出ました。

これは雲仙岳の噴火による被害を上回り、戦後最悪の火山災害となりました。

なぜこのような事態になったのか?

以下のような原因が挙げられます。

・紅葉シーズンの土曜日、加えて快晴だった

・昼間だったため、山頂付近に多くの登山客がいた

・噴火の様子を撮影していた人が逃げ遅れたケースが目立った

・直近に火山性地震が増加していたが、噴火の予兆と呼べるほどではなく、登山客に周知されなかった

やはり最も大きな要因は「間の悪さ」だったのでしょう。

噴火の大きさにはVEI(火山爆発指数)という指標が用いられます。

地震におけるマグニチュードのようなものだと考えて下さい。

このVEI、御嶽山の噴火では最小の1でした。

雲仙岳の噴火はVEI3だったため、あまり大きくない噴火だったということが窺えると思います。

にも関わらず、これほどの犠牲者が出たのは頃合いの悪さ以外の何物でもありません。

火山噴火予知連にも落ち度がなかったとは言えませんが、彼らは「災害の大きさで被害の大きさが決まるものではない」と述べています。

また、この噴火は水蒸気爆発でした。

火口付近が爆発するため、大規模な火砕流は発生せず噴石などが飛び散るタイプです。

噴石の速度は時速300km。

カメラを手に取らず逃げていれば助かったかもしれない、という方も大勢いらっしゃったようです。

この火山災害がもたらした教訓は「活火山の恐ろしさ」だったでしょう。

火山はいつ噴火するか、今の技術で予測するのは困難です。

活火山に登る際は事前に情報を収集し、万が一に備えましょう。

そして活火山に限らず「登山届」を出すようにして下さい。

スポンサーリンク
広告代

火山の不思議⑦ ~海外の火山災害~

今回は日本以外の国で起きた、代表的な2つの火山災害をご紹介します。

アメリカ・セントへレンズ山の大噴火
セントへレンズ山は比較的若い火山です。

火山の寿命はおよそ50~100万年と言われますが、この山の形成が始まったのは4万年前。

活発な幼少期という訳です。

このセントへレンズ山は、1980年に大噴火を起こしました。

しかし、私たちのイメージする「噴火」とは少し違う様態のものです。

なぜならこの時、セントへレンズは山の側面から爆発し、

その影響で山自体が崩れてしまったからです。

この現象は「山体崩壊」と呼ばれます。

山体崩壊のためにセントへレンズの標高は400mほど低くなりました。

また、横方向への噴火だったため地表への被害は甚大で、

およそ20km先の家屋と森林が破壊されたといいます。

VEI(火山爆発指数)は5で、噴火規模は雲仙の100倍程度だったと考えられます。

いかに危険な噴火だったかが分かりますね。

この災害が後に教訓として大いに歴史に刻まれることとなります。

なお、この時の噴火の様子は連続写真に収められ、

今でもYouTubeで見ることができます。

フィリピン・ピナツボ山の大噴火

20世紀以降、最も大きな噴火を起こしたのがこのピナツボ山です。

ルソン島の南西部に位置し、普段はほとんど人目に触れないような地味な山だったといいます。

その印象を変えたのが1991年6月。ちょうど雲仙岳噴火と同じ時期にあたります。

ピナツボ山に異変が起き始めたのは1991年3月のこと。

この頃から火山性地震が頻発し、やがて山頂で水蒸気爆発が起きました。

他にも火山性ガスの放出増加などが見られ、大噴火の予測が立つとすぐに避難命令が発令されたのです。

そしてピナツボの大噴火。

噴煙は高度30km以上に達したといいます。

近年の日本でも高度10kmに達する噴火は稀ですから、凄まじいものです。

また、火砕流も半径16kmの範囲に到達しました。

ピナツボの噴火形式は「プリニー式」と呼ばれ、高い噴煙と広大な地域に飛散する火山噴出物が特徴です。

VEIは6で、セントヘレンズの更に10倍の規模でした。

堆積した火山灰は家々を倒壊させ、大規模なラハールを起こしています。

高く舞い上がった火山性物質は全世界へと拡散し、オゾン層の破壊・平均気温の低下に結び付いたといいます。

ピナツボ山自体は激しい火山活動によって元の形を失い、

山頂部に大きなカルデラ湖を作りました。

このようにピナツボの噴火は凄まじいものだったのです。

しかし事前の噴火予測が当たり、避難命令を発動していたおかげで

ピナツボ周辺では6万人もの人命が救われました。

これはセントへレンズの教訓が生かされた大変素晴らしい事例と言えるでしょう。

火山の不思議⑧ ~破局噴火とは?~

有史以来、未だに起こったことのない破滅的な噴火。

一体どんなものなのでしょうか?

破局噴火とは
読んで字の如くなのですが、地下のマグマが一斉に噴き出し、広大な地域に壊滅的被害を与えるような大噴火のことをいいます。

一般にはVEI(火山爆発指数)が7以上の火山噴火が破局噴火とされ、これは1991年のピナツボ大噴火の10倍以上という規模です。

ここまで大きな噴火となると少しイメージが湧きづらいですよね。

どんな現象が起こるかというと、

まずあまりに巨大な噴火のために「火山が消滅」します。

噴火と聞いてイメージするような山頂からの火柱などではなく、もはや山自体が跡形もなく吹き飛んでしまうのです。

ちなみにこのレベルの大噴火の後には巨大なカルデラが出没します。

破局噴火が起こると周囲は瞬く間に火砕流で焼き尽くされてしまいます。

その範囲は実に数百キロにも及び、人命も文明も全てを焦がし、地形すら容易に変えてしまうほどです。

例えば4万年前の阿蘇山の破局噴火は日本史上最大の災害と言えます。

なぜなら火砕流は九州北部全域に行き渡り、更に海を渡って今の山口県や愛媛県まで焼き尽くしてしまったわけです。

火砕流中の軽石が噴火のエネルギーにより互いにぶつかり合い、その連鎖で結局火山性物質は空中を高速で走ります。つまり、海を越えるのも不思議ではないのです。

また広範囲に火山灰が降り積もり、地球の成層圏には二酸化硫黄に端を発するエアロゾルが漂います。

気候変動によって全世界に夏が来ないことも想定されるほか、

農作物の凶作で食糧危機に陥ることも十分に考えられるでしょう。

では破局噴火はいつ起こるのか?

ひとつ安心して頂きたいのが、

「何の前触れもなく破局噴火することはない」

ということです。

先にも噴火を予測することは難しいと述べましたが、

このレベルの噴火だと話は別で、マグマの過剰供給により土地が数m隆起します。

アメリカのイエローストーンが危ないと噂もされますが、まだ注視するほどの隆起はないため、噴火するのは当分先でしょう。

破局噴火はおよそ6000~1万年に一度、地球のどこかで起こると言われます。

前回の破局噴火は日本の鬼海カルデラ(鹿児島県南方の海底火山)で7300年前に起こっているようです。

ちなみにこの噴火の影響で南九州の縄文文化は消滅、

多くの人々が東方へ逃れたといいます。

それはいいとして、もう破局噴火が起きてもおかしくない年代には入っています。

我々が生きている間にこれが起こる可能性は低いですが、もしその時が来たならば、被害が最小限になるよう祈るしかないでしょう。

ちなみに石黒耀の小説「死都日本」では破局噴火が題材になっています。

霧島山が大噴火し、主人公で火山学者の黒木とパートナーの岩切が駆け回ります。

実は破局噴火という名称も、この小説が由来の造語です。

リアルな描写はたいへんスリリングなので、ぜひ読んでみて下さい!

火山の不思議⑨ ~火山の恵み~

今までは主に火山の噴火、脅威についてお伝えしてきました。

しかし火山は同時に多くの恵みを我々に与えてくれるのです。

火山の美しい風景
噴火の影響で、火山の周辺には特異な風景が残されます。

これを知れば山をひと目見ただけで「火山か否か」判断することができるかもしれません。

1、植生

例えば阿蘇の風景を思い起こしてください。

何となく、草原が広がっているようなイメージはありませんか?

それは正しい認識です。

阿蘇に限らず、多くの火山の周囲には背丈の低い草原が広がっているんです。

これには火山活動で形成された土質が大きく関係しています。

一般に火山性土壌というのは土の一粒一粒が大きく、水分が浸透しやすい土と言われます。

これは根が張りにくく多量の水分を得にくいということなので

大きな木にとっては不利な環境になります。

火山によってできた土は、広大な草原を育みやすいのですね。

2、独立性

山地や山脈に属する山と属さない山があるのですが、このうち属さない山は「独立峰」と呼ばれます。

日本では有名な独立峰の多くを火山が占めています。

土地が隆起してできた山地に比べ、

火山は噴火しているその場所だけが成長して行くからです。

独立峰は一際目立つ存在です。

そして頂上からは360°のパノラマが拝めるので、登ってみるのも良いでしょう。

3、形

成層火山は溶岩が流れ出た影響で裾野が大きく広がっており、全体的に滑らかです。

そして円すい型をしていて美しく纏まった山がたくさんあります。

これに関しては富士山が日本、いや世界の代表例と言えるでしょう。

日本の文化の象徴である、というのも頷けます。

観光地として

火山活動の形成する特殊な風景・環境はたいへん貴重なものです。

国立公園に指定されている場所も多々あります。

是非、火山の知識を増やした上で見て歩きしてみて下さい。

また上でも紹介したように、登山するのも一味違って楽しいものです。

縦走できる山は少ないですが、

その代わり素晴らしい景色が待ってくれているでしょう。

そして、火山の恵みと言えば温泉なしには語れません。

別に火山がない場所でも温泉には入れますが、そういった場所は地下水を温めている場合が殆どで、

火山の周辺ほど温泉成分が恵まれているわけではありません。

絵のような美しい風景の中、ぽかぽかの露天風呂に浸かる。

これこそ火山地帯周辺でなければ味わうことのできない贅沢なのです。

活動が活発化してきている現在、火山に対して警戒心を抱く人が増えつつあります。

しかしながら、日本人は火山とともに歩んできた民族です。

その変え難い恩恵が廃れなければいいですね。

火山の不思議番外編 ~火山のトリビア~

ここで、火山に関するちょっとした豆知識をご紹介しましょう。

知られざる火山のトリビア
1、世界一低い火山が日本にある?

世界一高い火山は南米大陸に位置する「オース・デル・シャラード」といわれます。

しかし「世界一低い火山」が実は日本あった! というものです。

その世界一を誇るのが、山口県にある笠山。

単成火山(一度だけ噴火する火山)ですが、1万年以内に活動を起こしているため、れっきとした活火山です。

その標高はわずか112m。

山頂部には火口の跡が残っているそうです。

※ただし「火山」の定義が曖昧なので、「大阪の天保山は日本一低い山!」と同じような説だと思って下さい。

2、日本一体積の大きい火山は富士山じゃない?

富士山は広大な裾野を広げる山です。

これより体積の大きい山が日本にあるというのでしょうか?

これは少しいじわるな豆知識なのですが、実はたくさんあるのです。

種明かしをすると、この順位は陸で見えない山の部分も体積として加えています。

すると最も大きい火山は太平洋に浮かぶ北硫黄島。

なんと体積は富士山の6倍以上もあります。

ちなみに海抜0m以上に限った話だと富士山は断トツの1位。

2位に3倍の差をつけています。

3、日本で一番活火山の多い都道府県

そう言われると、誰しもが「北海道!」と答えそうなものです。

しかし違います。

答えは意外にも「東京都」なのです。

驚かれる方も多いでしょうが、実は東京本土には活火山どころか火山すらありません。

東京は多くの島を保有しています。その中に火山島がいくつもあるのです。

数にして21活火山。ちなみに北海道は17座で2位だそうです。

日本には畑から急に噴火してできた火山がある?

最後のトリビアはこれです。

日本には平地から突然噴火が起き、そして形成された火山があるのです。

それが北海道にある昭和新山。

2000年に噴火を起こした有珠山の近くにある山で、標高はおよそ400mです。

元々は「ふかば村」という集落があった場所に昭和新山は生まれました。

ふかば村では日本がまだ戦時中だった1944年、いきなり隆起が始まります。

そして半年後には大噴火。

1年少しかけて続いた火山活動で、この「火山」は標高400mにまで達していました。

昭和新山の活動は現在停止しています。

全長180mほどの溶岩ドームが形成されていますが、今のところ活動の予兆はありません。

戦時中だったこともあり、昭和新山の活動研究はほとんどなされませんでしたが、

郵便局員の三松によって観察記録が綴られ、貴重な資料として評価されているそうです。

この珍しい自然の遺産を是非とも大事にしたいですね。

火山の不思議⑩ ~日本各地の富士山~

延々と火山のことを書き連ねて参りましたが、この記事で最後となります。

日本には美しい火山がたくさんあるのですが、

それらの多くが「郷土富士」として多くの人々に長く愛れています。

締め括りに、ぜひ訪れてほしい日本全国の郷土富士をご紹介しましょう。

東日本の富士山
1、利尻山

北海道のまた北方、利尻島に聳える火山です。

海上にすっと浮かび上がる姿はとても美しく、「利尻富士」とも呼ばれます。

ヒグマもマムシもいないという、登山者にとっては最高の環境にあるということなので

興味のある方は是非一度登ってみて下さい。

2、羊蹄山

もうひとつ北海道の火山です。

秀麗な成層火山で、形が富士山に似ていることから「蝦夷富士」と呼ばれます。

こちらもヒグマは出没しないそうなので、安心して登山ができるでしょう。

ロケーションは最高です。

3、岩木山

青森県西部に位置する標高1625mの火山です。

周りが平地になっているので、たいへん際立って見えるとのこと。

その姿から「津軽富士」と呼ばれ、人々に愛され続けています。

4、男体山

栃木県日光市の火山で、中禅寺湖の背景によく映っています。

北関東一円から望むことができ「日光富士」の愛称で親しまれています。

由緒のある地域なので、歴史探訪とともにこの山を覗いてみるのはいかがでしょうか。

5、蓼科山

「諏訪富士」の異名をもつ、長野県にある火山です。

すらっとした丸い山容が特徴で、南に位置する八ヶ岳連峰にも引けを取りません。

おすすめは白樺湖から見る蓼科。

別荘地帯なので、少し贅沢な気分で眺めてみて下さい。

西日本の富士山

1、大山

鳥取県に位置する火山で、中国地方最高峰です。

西側から見ると美しい円錐型、北側から見ると荒々しい岩壁、

というように色んな顔を見せてくれる山でもあります。

日本四名山にも数えられ、「伯耆富士」の愛称を持っています。

2、三瓶山

島根県を代表する山で、中国地方では唯一の活火山です。

神話の山でもあり、海側からは「石見富士」と呼ばれる三瓶山の姿が窺えます。

標高はあまり高くないので、体力に自信のない方でも登ることができるでしょう。

3、由布岳

大分県は湯布院に鎮座する標高1583mの山です。

湯布院の温泉街からは大概見ることが可能で、「豊後富士」として街のシンボル的存在となっています。

是非とも、由布岳を見ながらの露天風呂を楽しんでいただきたいものです。

4、桜島

たびたび噴煙をあげる姿はあまりにも有名でしょう。

世界的にも貴重な火山です。

島には溶岩ロード、埋没鳥居、桜島温泉など観光スポットが目白押し。

九州を代表する山として「筑紫富士」の名前も持ちます。

5、開聞岳

鹿児島県は薩摩半島の南端にある火山です。

海抜0mから非常に整った山容が聳えているため、訪れる人の目を引きます。

その姿から「薩摩富士」と呼ばれ、日本百名山にも指定されています。

いかがだったでしょうか。

もちろん、本家富士山も忘れてはいけません。

360°整った形、周囲を寄せ付けない独立感、海抜0mからでも拝めるスケール。

これほど美しい山は富士山を置いて他にないのです。

何度も言うように火山は脅威です。

脅威であることは確かなのですが、その風格こそが私たちに素晴らしい景色と恵みを与え続けているのです。

近年は地殻活動が活発化していますが

火山は日本人の心の在処でもあります。

是非ともその心をもって、火山の恩恵に預かる人が増えることを願います。

またその際は、事前に確かな情報を仕入れて下さい。

スポンサーリンク
広告代
広告代

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする