金融のお話 銀行の保険販売について

金融のお話 銀行の保険販売について

銀行で保険の販売をしています。銀行は販売することで保険会社から手数料を得ます。保険そのものは保険会社の責任です。両者を混同してはなりません。

急がされてもそれに同調せず、契約前に十分に理解することです。特に保険料を一括前払いする保険は自分の今後の生活に合っているかどうかをよく見極めてください。

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1.  導入

この20年の間に銀行を取り巻く環境は大きく変化しています。最近はデフレ脱却のため、日銀は銀行が保有する国債や債券を購入することで銀行に円を供給し続けています。銀行を通して市中にお金をまわすためです。さらに銀行の背を押すため、銀行が日銀に預けている当座預金の一部についてマイナス金利を設定しました。日銀に預けておく当座預金が預かり料をとられるのです。趣旨は企業に積極的に資金を提供することを求めているのです。民間に需要の無い資金はどこに流れるのでしようか。

一方、大手企業では利益を蓄えています。設備投資などをする場合でも銀行からの融資をできるだけ少なくするがためです。それだけではありません。必要なら新株や各種社債を発行することによって資金を得る途もできています。銀行の融資に頼らなくても資金を調達できるのです。企業への大口融資が減るなか、銀行は必死になって収入源を模索しなければならないのです。

2.  日本版金融ビッグバン

日本版金融ビッグバンは第2次橋本内閣の1996年にはじまりました。日本が独自に考えたのではなかったと思います。なぜなら、前年のことですが、大和銀行は出先の米国で米国債の取引で多額の損失をしたばかりか、米国の金融管理当局に度々虚偽の報告をしたほか、金融検査の妨害を重ねたとして、米国での営業を停止させられています。日本の金融機関の体質や金融庁の管理が世界に向けて疑問符がつけられたのです。

当時の米国大統領はクリントンです。彼は湾岸戦争などで財政状況を悪くしたブッシュ(父)大統領に代わって大統領になったのですが、住宅政策などを積極的に進め、在任中に財政赤字を解消したことで有名です。就任のはじめにこの橋本首相はクリントン大統領と会談しています。

A. 保険商品の銀行での販売

ビッグバンの一環として、銀行窓口で保険商品の販売ができるようになりました。販売できる商品を段階的に増やしていき、最後の2007年末にすべての保険商品を窓口販売できるようにしました。表1はその経過の概要です。

保険の販売で保険会社から手数料を受け取ります。手数料は契約者が払う保険料から支払われます。

表1  銀行の窓口販売が可能になった保険商品

時期 保健の種類
2001.04 信用生命保険、火災保険、海外旅行保険など。
2002.10 変額年金保険、定額年金保険など。
2005.12 一時払い終身保険、一時払い養老保険、自動車保険を除く個人向け損保商品。
2007.12 生命保険と損害保険のあらゆる商品を販売できるようになりました。具体的には、平準払い終身保険や定期保険などの死亡保障保険、医療保険、がん保険、自動車保険などです。

取り扱う保険は特定の保険会社の商品に限られず、どの保険会社の商品も扱えます。このため、保険会社は銀行に強い姿勢はとれません。敬遠されたら自社の保険商品を売ってくれないからです。

保険会社は独立した代理店と連携していますが、代理店とは上下の関係です。それに対して、銀行と保険会社とは対等の関係です。銀行が自行に有利な商品に特化して販売しても非難はできません。この関係は販売手数料にも関係してきます。銀行は自行の顧客に自行に有利な保険会社の商品を優先して薦めることを私たちは知らなければなりません。

銀行のこれまでの販売の主力は「一時払い終身保険」だったようです。保険料は加入時にまとめて払い込み、保険としての補償は一生続きます。死亡したら死亡保険が支払われます。途中で解約できますが、その時期によって返戻金は違ってきます。時期によっては元金が戻らない場合もありますし、元金以上になる場合もあります。例えば10年を過ぎると返戻金は元金以上になるかもしれません。一時払いは保険会社にとっては有利です。長期間、運用できるからです。銀行に支払う手数料も多くなるでしょう。だから銀行も積極的に販売するのです。

変額保険や外貨建て保険なども銀行が推進したい保険のようです。これらの保険の仕組は複雑です。理解したうえで契約することです。変額保険は資金の運用を他者に委ねますし、外貨建て保険は日本円との交換比率が様々な要因で変動します。将来の生活に不可欠な資金をこの種の保険に使うのは避けるべきでしょう。

3.  販売手数料の開示要請

昨年の暮れ頃、金融庁は保険会社に対し、貯蓄性の高い保険商品について販売手数料の開示を促したとのことです。契約者に知らされることなく、高額の販売手数料の保険商品を銀行は進める可能性があるからです。

販売手数料の大きい保険はその分だけ保険会社の収入が減るため、保証の観点からは契約者に不利な保険になる可能性があります。しかし手数料を開示すれば、高額な手数料の保険を顧客は敬遠するでしょう。このため銀行も積極的には売らなくなることを保険会社は懸念します。顧客に選んでもらうには販売手数料を下げざるを得ないでしょうが、それでは銀行は積極的に顧客に勧めない可能性があるのです。

4. 金融商品の販売などに関する法律

金融商品の販売に関し、顧客の保護を目的とした法律が制定されています。具体的には、金融販売業者が顧客に説明すべき事項、説明を怠ったことにより損害を被った時の損害の補償、販売業者が適正な勧誘をすることなどを規定しています。10条からなる法律で、平成13年4月1日に施行され、その後何回か変更されています。

第1条では、法律の目的を規定しています。

第2条では、「金融商品の販売」、「金融商品の販売等」、「金融商品販売業者等」、「顧客」などの用語を定義しています。

第3条では、金融商品販売業者等の説明義務について詳細に規定しています。

第4条では、金融商品販売業者等の断定的判断の提供等の禁止について定めています。例えば、「絶対に大丈夫」、「元金は保証される」、などの文言です。

第5条では、金融商品等の販売業者の損害賠償責任を規定します。

第6条では、損害賠償額の推定について規定しています。

第7条では、損害賠償はこの法律のほか、民法89号の規定を用いるとします。

第8条では、適性な勧誘をすべきと定めています。

第9条では、金融商品販売業者等は勧誘方針等の策定を義務づけます。

第10条では、規定に従わなかった場合の過料について定めています。

5. まとめ

銀行の事業環境は大きく変わってきています。かつては企業の設備投資に必要な資金の提供が主たるものでしたが、海外での生産が増えるのに応じて国内での設備投資が減っています。そのうえ、バブル崩壊を機に不良債権の処理で銀行が厳しい貸しはがしをされたことに懲り、企業は内部留保に努めています。また、株式の発行や社債の発行で資金を得られるようになったため、銀行の融資を必要とする機会が減っています。それに加えて、低金利が続いていることも資金の貸し出しによる利益の確保が困難になっていると思います。

金融ビッグバンの一環として各種の保険の販売を銀行ができるようになりました。個人の生命保険では生保各社は多数の生保レディを抱えて営業していますが、それ以外の保険では支店を多くもつ銀行の販売は魅力的です。銀行でも収入源のひとつとして保険販売に力を入れます。特に保険金額が大きい商品で販売手数料の大きい商品には力を入れます。しかし、顧客である契約者があまりに不利になることは許されないことです。いつも後手に回る金融当局もこの件に関してようやく重い腰を上げたのでしょう。

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