変化率から社会問題の提起と解決を考える

変化率から社会問題の提起と解決を考える

変化率とはある事象1(例えば時間)に対するある事象2(例えば人数とか価格)の変化の割合のことです。換言すれば、着目する変化軸(事項1)に対する別の変化軸(事項2)における位置や状態の変化の仕方(割合)を指します。たとえば、時間軸に対して特定の方向(座標軸)での位置の変化の割合は「速度」ですし、速度が変化する割合は「加速度」です。本稿では社会に生起する様々な事象を変化率の切り口から考察し、基本的な解決策を考えます。

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1. 変化率の定義

ある事象Fが別の事象Xに影響を受ける場合、X軸上の点x1 でのFの値がf(x1)で、x2 での値がf(x2)だとします。

この場合の変化の割合を { f (x2) – f (x1) } / (x2 – x1) で表します。なお、記号「/」は割り算を意味します。

図1は階段状の変化とパルス状の変化に対する変化率を表しています。変化が急激なほど変化率は大きくなります。認識すべきことは変化自体の大きさではなく、変化の割合であることです。

              図1. 変化率の例

2. 変化率の大きな社会現象の例

変化率を数学では微分と言います。しかし単に数学や物理の世界だけの関心事ではありません。人間社会の様々な場面で変化率に着目した解決が役立つことがあります。米国大統領がオバマ氏からトランプ氏に変わったことも変化率の大きな例かもしれません。

A. 季節の変化と老人の死

晩秋から冬に向かう頃、大寒に入る頃、冬から初春に向かう頃、地方紙の死亡通知欄が大きなスペースをとります。掲載される人のほとんどが高齢者です。健康な人には打撃とならない季節の変化が、高齢者の肉体には大きな影響を与えると考えざるを得ません。

私も後期高齢者の一人ですが、寒さを感じる季節になると、血流が弱くなるためか、かかとに「あかぎれ」ができます。素人考えですが、季節の変化、具体的には気圧や気温の急変は老体の血流に大きく影響するのだと思います。普段から血管を太くし障害物を除き、血液もサラサラにしておくことが大切と思います。

B. 箱根駅伝一区での戦略

新年恒例の駅伝競技には、元日に群馬県で挙行される実業団対抗駅伝と、二日から三日にかけて挙行される関東地方の大学の代表が行う箱根駅伝とがあります。以下では箱根駅伝を例にして変化率に関係するお話をします。

箱根駅伝では、往路、復路とも五人の走者でタスキをつなぎます。東京大手町から鶴見までの1区、鶴見から戸塚までの2区、戸塚から平塚までの3区、平塚から小田原までの4区、小田原から箱根芦ノ湖のゴールまでの5区に分かれています。因みに40年ほど前の10数年間、私は戸塚と平塚に住んでいました。

さて、どの区間も20Kmを越えており、駅伝としては長い距離です。復路は往路の逆のコースを芦ノ湖から五人のランナーがタスキをつなぎながらゴールの大手町に戻ります。

この全10区間のなかでも往路の一区だけは他にない競争が展開されます。全チームが一斉にスタートするからです。体調が不本意な選手でないかぎり、スタートから15km付近までは先頭集団との差は僅かです。問題は残り数キロの行程です。余力のある選手は速度の上げ下げを繰り返します。ニュートンの力学の法則をもち出すまでもなく、速度の上げ下げには力が必要です。余力のない走者は必死に先頭集団について来たのですが、この揺さぶりに耐えられず次第に落伍していきます。揺さぶりに応じずに走り続ける選択肢もありますが、いずれ置き去りにされてしまいます。他の区でも何人かの走者がまとまって走ることはあり得ます。その場合でも力のある走者が速度を上下して揺さぶることはあるかもしれません。

C. 大学一年生の危機

大学生活に適応できずに退学するか、所定の年数では卒業できない学生は少なくありません。そのような状態が始まる時期は入学したまさにその年です。一年次の大学生活を無難に乗り切れれば、その後に病気や事故や事件がなければ卒業はできるでしょう。1年次を乗り切れない学生の多くは、それまでの生活と大学での生活との急激な変化に対応できないのです。

(1) 生活面の危機

両親の住む家から離れて一人の生活をはじめた学生の生活に乱れがないかどうかです。親元から離れているため目が届きません。就寝、起床、食事などがきちんとしていれば問題はないでしょう。飲酒にふけったり、金使いが荒くなったり、勉学ではなくバイトが主になっているなら問題です。生活の乱れはすべての乱れのもとになるからです。

(2) 勉学面の問題

大学は自由な社会です。入学金や授業料を納入すれば学生の身分でいられます。その年に開講される科目は年間の時間割が記載されています。さらに詳しい情報はシラバスを見ればわかります。各科目の単位取得の条件も明文化されています。学年ごとに受講できる、あるいは受講すべき科目も定められています。しかし、開講科目のどれとどれを受講するか、さらには受講申請をしても講義に出席するか否かは本人の自由意思です。どの程度勉強するかも本人次第です。講義を欠席しても誰も忠告してはくれません。将来のために何をどの程度学ぶかも本人次第です。大学時代の自由をどう使うかは本人次第なのです。

3. 変化への対応

変化の影響を直ちに受けるのは弱者です。厳密にいえば、変化そのものでなく、変化の割合(変化率)が大きいほど受ける影響が大きくなります。

また変化の影響を万人が等しく受けるとは限りません。限られた人々だけが変化の影響を受ける場合もあります。新入社員や大学の新入生だけが受ける変化は当然あります。生きるために不可欠なものやサービスに課される消費税は、収入の乏しい人ほど打撃が大きいのです。

大学を卒業して企業に就職した新人は生活の仕方や勤労という行動の大変化に立ち向かわねばなりません。男性社員に伍して働こうとする大卒女子は男子以上に大きな変化に立ち向かうことになります。このような変化を克服するには相応の覚悟が必要です。結婚し最初の子を産む女性も大きな変化に立ち向かわねばなりません。

対策1

変化を和らげたいなら事前の準備をすることです。電気回路では急激な電圧・電流の変化は周囲に大きな雑音をまき散らします。避ける方法の一つは急激な変化を起こさないことです。可能なら急峻な変化をゆるやかな変化に変えるのです。それが不可能なら距離を置くか、その影響を遮蔽することです。

対策2

変化を緩やかにすることも、距離を置くこともできない場合は、変化に対して前もって備えることです。新入社員や大学の新入生は必ず来る急激な変化に事前に備えなければなりません。

4. まとめ

変化の割合が大きい現象は弱者に強烈な影響を与えます。変化の大きさに注意がいきがちですが、真に注目すべきは変化の割合の大きさなのです。本稿では、変化率の大きな社会的事象を挙げると共に、それらへの対策の原理を説明しました。

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