モルディブ政権交代中国債務問題とは!?

モルディブ政権交代中国債務問題とは!?

日本では、「地上の楽園」として知られる観光国家モルディブ。
このモルディブで2018年9月23日に大統領選挙があったことを御存知の方は少ないのではないでしょうか。

小さなインド洋上に浮かぶ島国であるモルディブは、日本からは観光以外に主だった魅力がない国であり、日本国内でもその流れで政権などにはあまり興味が示されていません。

しかし、このモルディブは現代社会において地政学的に中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」の重要拠点として位置付けられ、インドを包囲するいわゆる「真珠の首飾り」に例えられる立地にあります。

ここに、中国勢力が公共投資を初めとした開発を行いモルディブの対外債務の大部分を債権として持つに至ろうとしています。

この事で、現職大統領の方針でもあった「親中政策」が今回の大統領選で継続されるのか、或いは否定されるのかが注目されていました。このことは、中国の構想を完成させる大きな試金石ともなる事から日本でも一部専門家の間で注目されてきた大統領選挙でした。

スポンサーリンク
広告代

モルディブの大統領選結果

前文でお示ししましたように、モルディブにおける今回の大統領選の対立構造は「親インド派」を唱える野党統一候補の「イブラヒム・ソリ」氏が、現職の大統領で「親中国派」である「アブドラ・ヤミーン」大統領との一騎打ちの構図になっていました。

その選挙結果は、「親インド派」を自認する野党統一候補のソリ氏が得票率約58%、現職大統領であるヤミーン氏が42%と言う結果になり親インド派が勝利したことになりました。ちなみに、今回の大統領選の投票率は89%とほぼ全国民の意思と言っても過言ではない投票数を得たことになります。選挙結果から2018年11月17日にソリ氏が正式大統領に就任する予定になりました。

モルディブの近年の政権

この国では、近現代に至るまで政党活動や国内政治的な問題などはあまり見られなかった国でしたが、最近では数種類の政党ができて各々が与党、野党を形成し政権運営を執行しています。

2013年前大統領であったナシード前大統領を破って大統領に就任した現ヤミーン氏が2018年2月初旬に弾圧を加えるべく、同前大統領に汚職等の罪で有罪判決を行ったことがあり、これに対してモルディブ最高裁判所において有罪判決無効の最終判決がなされました。

これに対し、ヤミーン大統領側では、これを拒否し非常事態宣言を出しました。そのため、モルディブでの大統領選が予定通り実施できるかが、関係周辺国により心配されていましたが、9月23日に大きな混乱も無く、滞りなく実施されたという経緯があります。

モルディブの親中化

中国は、モルディブと関係の深いインドと過去からインド北東部、中国最西部での中印戦争などに代表されるように、争いが絶えず繰り返してきた歴史があります。

総じて中国とインドは仲が良くないと言えるでしょう。

モルディブは、その地政学的な位置づけから過去インドから大きな影響を受けその支配下になった時代もありました。

そのようななか、中国が掲げるインド包囲網(「真珠の首飾り」とも言われる)を完成する為にはこのモルディブが非常に重要な拠点になり、親中化を狙っていることが今回の問題になっています。

つまり、中国の国際戦略をそのまま容認し、モルディブも国としてその流れに沿うのか、あるいは親中を止め、新インド路線で進むのかという選択選挙でもあったわけです。したがって、中印代理戦争とも言われる理由がこの問題にも隠されています。

モルディブにおける対外債務問題

ここで、モルディブ国内で最も懸念されている問題が対外債務問題です。

中国はモルディブの親中化を図るため、モルディブ国内の公共インフラに対する投資を次々に行っており、現政権のヤミーン大統領もそれを承認、2014年には、中国のトップである習近平氏が同国を訪問し、中国の示す一帯一路構想に対して支持を取り付けた経緯があります。

2017年12月には、中国との間にFTAを結ぶにまでに至っています。前大統領である、ナシード氏も中国による3大プロジェクトで、中国に対する債務が国会債務の80%に達すると警告を発していました。

このことは、スリランカにおける対中国借款で建設された「ハンバントタ港」が、同国の債務超過によるデフォルトを回避するため中国に対して同港を99年の間借款させるという事態に陥ったことを危惧しての発言であったように思われます。

このことは全世界的に「中国による債務の罠」への警戒が、今回のソリ氏の勝利につながったと考えられます。同国における現状は、国際通貨基金(IMF)の2017年報告によれば、モルディブの対外債務のGDP比率が2014年から2016年に掛けて11.5%増加し、対外債務自体の対GDP比は2021年には、51%にまで上昇するという予測も同時に発表されています。

実際の金額に換算しますと、モルディブ政府における政府歳入額は概ね10億ドルになるのに対して、全対外債務の支払利息が2021年迄には毎年9,200万ドルに上ると推計しています。この状況を危惧したモルディブ国民が、親中派の現職大統領に換えて、親インド派の新大統領を選んだと言っても良いと言われています。

スポンサーリンク
広告代
広告代

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする