イギリスの老後の年金制度事情と健康保険は、どのような仕組みで問題はないのか?


今回の注目記事は、イギリスの老後の年金制度事情と健康保険は、どのような仕組みで問題はないのか?です。

イギリスでは2016年度から一層年金制度が導入され、年金制度の複雑さが軽減して退職者が老後の年金の金額を予見しやすくなっています。健康保険については、原則として自己負担なしで医療サービスが利用できる国民保健サービス(NHS)が導入されており、非常に充実したものになっています。

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イギリスの年金制度について

イギリスの年金制度は、基礎年金と付加年金(日本の報酬比例年金)の2階建ての制度となっています。この他、一定の要件を満たすサラリーマンが加入できる確定給付職域年金があり、この年金の加入するものは、付加年金の加入が免除されます。

日本の年金制度は原則として20歳以上60歳未満の全ての者に加入義務があり、国民皆年金となっています。イギリスの場合には、一定の所得以下の者については、年金制度への加入が免除されるため、国民皆年金ではありません。なお、一定の所得(最低所得額)未満の者は基礎年金に任意で加入できます。

年金の支給開始年齢は、男女とも65歳からですが、一定年齢以上の女子については65歳未満から支給される場合もあります。支給開始年齢は男女とも2018年から2020年にかけて66歳に引き上げられ、その後は、2034年から2036年までに67歳に引き上げられます。

年金受給に必要な加入期間は、例えば1951年以降生まれの男性であれば、35年間納付して満額、最低10年の加入期間が必要です。基本受給額は基礎年金(満額)で、単身者が週115.9ポンド、夫婦世帯が週185.4ポンドとなっています。付加年金は、加入者の所得に応じて支給されます。なお、2016年から基礎年金と付加年金を統合した一層年金制度が導入されます。一層年金は個人単位で支給され、満額が週155.65ポンドとなっています。

イギリスの年金制度の問題点とは!?

イギリスの年金は賦課方式で運営されます。賦課方式とは、現役世代から徴収した保険料で、同じ時期に生存している年金受給者の給付を賄う方式です。賦課方式はよく積立方式と比較されますが、積み立て方式は、特定の個人から徴収した保険料を積み立てておき、保険料を支払ったものが年金受給者となった時に、積み立てた保険料から給付金を支払うというものです。

イギリスの公的年金の積立金は2か月程度と非常に少ない水準で、何らかの理由で保険料の徴収がストップすると、直ちに年金受給者への支払いが滞るという不安定な状態となっています。その意味では、イギリスの年金制度は危険な状態にあると言えます。そういう状態になった場合には、政府が税金を使って給付を続けるでしょうから、年金財政がすぐ破綻するということはないでしょうが、積立金の水準が低すぎると言えます。

2016年から基礎年金と報酬比例の付加年金を統合した一層年金が導入されましたが、これによって年金制度が非常に分かりやすいものになったと言われています。現役引退後の年金受給額も予見しやすくなりました。現役時代の報酬に比例して受給額が決まっていた付加年金が廃止され一層年金の定額給付に変わりましたが、そのことにより、公的年金の所得再配分効果も大きくなりました。

一層年金は個人単位で支給されるので、従来の配偶者年金、遺族年金、離婚時分割年金は廃止されました。そのために、年金制度の構造が非常にシンプルになりました。日本の年金制度は非常に複雑な制度となっていますが、イギリスの一層年金のように分かりやすい仕組みに改善されることが望まれます。

イギリスの健康保険制度とその特徴について

イギリスは国民保健サービス(National Health Service:NHS)が導入されています。NHSは、利用者の健康リスクや支払い能力に関わらず、自己負担がほとんどないか無料で医療サービスを受けられる制度です。NHSは1948年に誕生し、現在も運営されています。NHSにはイギリスの国家予算の25.5%が投じられているとされています。

NHSは、イングランド、スコットランド、北アイルランド、ウェールズの4地区に分割され、分割された地域ごとに運営されています。医療サービスの内容や予算編成、治療や管理における指針などもそれぞれの地域ごとに独立して運営されていますので、NHSの内容は地域ごとに異なります。

イギリスにはNHSの他に民間医療機関も存在し、NHSとほぼ同様のサービスを提供しています。民間医療では、主にプライベート保険加入者を対象とした治療を行います。保険料は事業主又は加入者が負担します。イギリスの人口の約12%がプライベート保険に加入しています。ただし、プライベート保険では一定の疾病が保険対象外となっていますので、適用範囲に制限があります。

実質的に無料で医療サービスが受けられるNHSは、非常にうらやましい制度であると言えます。自己負担額無しで医療サービスを提供すると、医療機関が赤字で制度が維持できないとも考えられますが、イギリスのNHSは1948年の設立以来、現在も破綻することなく運営を続けています。選択的に民間医療も利用できますので、イギリスの健康保険制度は充実していると言えます。

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