平成29 年度 全国学力テスト 数学Bはなぜ難しい?

受験

開始以来、今年で10年目になる全国学力数学テストの結果が文部科学省から発表されました。

東京都のような私立校が多い自治体は別ですが、過疎と少子高齢化が進む地方では、全国平均を上回る成績を得るのは容易ではありません。

私の住む県でも関係者の努力で少しずつ平均点は向上しているようですが、今年の試験で全国平均を上回った科目は、小6の国語Aと算数A、中3の国語Aだけだったようです。

応用力を問う科目ではすべて全国平均に達しなかったとのことです。特に数学の学力向上が期待されているのですが、これまで一回も全国平均を上回ったことがないそうです。

本稿では数学Bの問題を社会人の立場から評価してみます。

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平成29 年度 全国学力テスト 数学Bはなぜ難しい?

万華鏡は次のような筒状のおもちゃで、中に3枚の鏡を組み合わせた正三角柱が入っています。鏡が内側に向いているので、中をのぞくと、正三角柱の底面にある模様が周りの鏡に映って、美しい模様が見えます。

図1

正三角柱の底面にある模様が2のA である場合、 B図のような模様が見えます。これは、隣り合う正三角形がすべて、共通する辺を軸に線対称になっているとみることができます。例えば、 C図にある4枚の正三角形に着目すると、隣り合う正三角形は、共通する辺を軸に線対称になっていることがわかります。

図2

次の設問1から設問3に答えなさい。

1.1.1  問題文

図2 のC図で真ん中にある正三角形が下の3の基本図形の模様である場合を考えます。このとき、点線で囲まれた正三角形の模様が、下のアからエまでの中にあります。それを1つ選びなさい。

図3

1.1.2  解答の検討

正三角形の各辺に対して線対称になっている図形を探します。

「ア」は上の二つが線対称になっていませんし、「イ」は三つとも線対称になっていません。「エ」は下の図形が線対称になっていません。
「ウ」は三つの図形とも線対称になっています。

1.2.1  問題文

図2の模様を4のように広い範囲で考えます。4の四角形ABCDの模様は、1回の回転移動で四角形GBEFの模様に重なります。四角形ABCDの模様は、どのような回転移動によって四角形GBEFの模様に重なるか書きなさい。

図4

1.2.2  解答の検討

回転前後の図形で点Bの位置は変わっていません。したがって点Bは回転の中心です。回転する角度は∠ABCの2倍の120度です。

1.3.1  問題文

図5の合成図形のような模様を作ろうとするとき、そのもととなる正三角形はどのような模様にすればよいですか。基本図形の「ア」から「エ」までの中に、もととなる正三角形の模様があります。それを1つ選びなさい。

図5

1.3.2  解答の検討

基本図形を60度、120度、180度、240度、300度ずつ回転させた図形を合わせると合成図形にならねばなりません。「ウ」と「エ」は星印の分け方に問題があります。「イ」は半円と星印の相対的な位置関係に問題があります。正解は「ア」です。

2.  問題2

次の図のようにストローを並べて、六角形を n 個つくるのに必要なストローの本数を考えます。

例えば、六角形を3個つくるのに必要なストローは16本です。

次の設問1から3に答えなさい。

2.1.1  問題文

六角形を5個つくるのに必要なストローの本数を求めなさい。

2.1.2  解答の検討

必要なストローの数は26本です。5個なら図を描いて数えられます。

2.2.1  問題文

図1のようにストローを囲むと、六角形を n 個つくるのに必要なストローの本数は、次のように説明できます。

図1

説明

上の説明の □ には、同じ式が当てはまります。□ に当てはまる式を、nを用いて表しなさい。

2.2.2  解答の検討

図1をみれば、ダブって数えているストローの数はn–1本です。

[参考]

6n – (n – 1) = 5n + 1 = 5(n–1) + 6とも書けます。この式は設問3で扱います。

2.3.1  問題文

図2のように囲み方を変えてみると、六角形をn個つくるのに必要なストローの本数は、6+ 5( n-1)という式で表すことができます。六角形をn個つくるのに必要なストローの本数を表す式が6+5( n-1) になる理由について、下の説明を完成しなさい。

図2

説明

2.3.2  解答の検討

図2のように囲むと、最初の6角形はストローが6本ですが、次からのn-1組の6角形ではストローの本数はすべて5本です。

3.  問題3

康平さんは、ダムの貯水量が減ってきており、水不足の心配があることを新聞で知りました。そこで、新聞に載っていたダムについて、毎日の同時刻の貯水量を調べました。そして、5月31日からx日後のダムの貯水量をy[万立方メートル]として、次のように表にまとめ、のグラフに表しました。

調べた結果

 

次の設問1から3に答えなさい。

3.1.1  問題文

調べた結果のグラフにおいて、5月31日から4日経過したときに、貯水量が2、820[万立方メートル]であったことを表す点はどれですか。点Aから 点Fまでの中から記号を1つ書きなさい。

3.1.2  解答の検討

グラフの読み方を問う問題です。横軸の原点が5月31日です。その日の貯水量を示すのが点「A」です。そこから4日経過した点は「E」です。

3.2.1  問題文

康平さんは、このダムの貯水量が1500[万立方メートル]より少なくなると水不足への対策がとられることを知り、それがいつになるのかを予測することにしました。

そこで、 調べた結果のグラフにおいて、点Aから点Fまでの点が一直線上にあるとし、貯水量がこのまま一定の割合で減少すると仮定して考えることにしました。

このとき、貯水量が1500[万立方メートル]になるまでに5月31日から経過した日数を求める方法を説明しなさい。ただし、実際に日数を求める必要はありません。

3.2.2  解答の検討

点Aと点Fを通る直線の延長線上の点が1500になるときの横軸の座標値を読みます

3.3.1  問題文

康平さんは調べたことをきっかけに、水を大切にしようと思いました。そこで、家でできる節水の方法を調べて表にまとめ、それをもとに毎日の取り組みを決めました。

節水の方法と節水量

節水の方法

節水量

シャワーを流しっぱなしにしている時間を短くする。毎分12リットル
歯磨きで、口をゆすぐときに、水を流しっぱなしにせずに、コップに水をためる。1回に5リットル

[康平さんの取り組み]

  • シャワーを流しっぱなしにしている時間を、3分間から5分間くらい短くする。
  • 1日2回の歯磨きで、2回ともコップに水をためる。

シャワーを流しっぱなしにしている時間をa分間短くしたときの、 1日あたりの節水量をb リットルとするとき、 康平さんの取り組みによる1日あたりの節水量は、次の式で表すことができます。

b =12a+5×2

康平さんの取り組みを行うとしたら、1日あたりの節水量がどのくらいになるかを、上の式をもとに考えます。aの変域を3≦a≦5とするとき、bの変域を求めなさい。

3.3.2  解答の検討

式(b =12a+10)のaの値が、3の場合と、5の場合とについてそれぞれ計算すると以下の値になります。

3の場合 12×3+10=46

5の場合 12×5+10=70 です。

従って、節水量の値の範囲は 46≦b≦70 になります。

4.1  問題Aと問題Bの特徴

  • 数学Aの問題では、計算、平面図形、立体図形、方程式、文字式、確率などが直接の問題です。解答することがはっきりしています。数学Bの問題では、問題文を読んで何が問題とされているかを理解し、何を答えるべきかを確認し、解答を得る方法とか手段を決定しなければなりません。
  • 数学Aが求めているのは開放や計算の方法です。数学Bが求めているのは解答を得るための道筋です。

4.2  各問題の要点

  • 問題1では、正三角形の各辺を線対称にする図形についての問題ですが、初めの方の文章を読んで三角プリズムの原理も理解しなければなりません。
  • 問題2は、ストローを使って作る六角形の鎖を異なる視点で捉える問題です。まずは問題の文章を理解しなければなりません。
  • 問題3では、ダムの貯水量の日毎の変化を表すグラフの見方についての設問と、自宅でのシャワーと歯磨き時の水の節約の予測に関する問題です。

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