平成29年度 学力テスト 数学Bはなぜ難しい?続編

受験

平成29年度 学力テスト 数学Bはなぜ難しい?続編

本稿では、平成年度全国学力テスト数学Bの全5問のうち、後半の2問を検討します。

1.  導入

数学Aはあらかじめ球種がわかるか、球種を打者側で指定できるバッティングマシンから繰り出される球を打つ場合に相当し、数学Bは正規の試合での投手の球を打つ場合に相当します。

2.  問題4

図1のように,正三角形ABCの辺BC,CA上にBD = CEとなる点D,Eをそれぞれとります。また,線分ADと線分BEの交点をFとします。ただし,点Dは点B,Cと,点Eは点C,Aと重ならないものと します。

図1

次の設問1から設問3に答えなさい。

スポンサーリンク

2.1.1  平成29年度 学力テスト 数学B問題文

図1において△ ABD=△BCEを示し,それをもとにして,∠BAD=∠CBEであることが証明できます。∠BAD=∠CBEとなることの証明を完成しなさい。

証明

図2 証明用の図

2.2.2  解答の検討

  • 辺AB = 辺BC、かつ、辺BD = 辺CEなので、△ABDと△BCEは合同であることを確認します。
  • 合同であることから、辺AD = 辺BE によって対応する辺を確認します。
  • 合同なら二辺とその挟角は等しいので、辺ABと辺ADの挟角と、辺BCと辺BEの挟角は等しいことを確認できます

2.2.1  問題文

次の3のように,1の∠BADと∠CBEを20°とします。このとき,∠BEAの大きさを求めなさい。

図3

2.2.2  解答の検討

△ABCは正三角形なので、∠BCE=60です。

∠CEB = 180 - (20 + 60) = 100です。

∠BEA = 180 - ∠CEB = 180 – 100 = 80です。

2.3.1  問題文

前ページの図1において,∠BAD=∠CBEが成り立ちます。次の図4のように,図1の点Dは辺BC上を点Cの方向に,点Eは辺CA 上を点Aの方向に,BD=CEの関係を保ったまま動きます。このとき,∠BFDの大きさについて正しく述べているものを,下のアから工までの中から1つ選びなさい。

図4

 

  • ∠BFDの大きさは、小さくなっていく。
  • ∠BFDの大きさは、大きくなっていく。
  • ∠BFDの大きさは、変わらない。
  • ∠BFDの大きさは、間題の条件だけでは決まらない。

2.3.2  解答の検討

  • DはBやCに重ならないと断りがありました。Bと重なると三角形ではなく直線になってしまいますし、Cと重なると元の正三角形の辺ACと重なります。
  • ただし、DはBやCに接近することはあり得ます。EとCとAの関係も同様です。
  • Dの位置をBの近傍からCの近傍まで動かしてみましょう。下の図がその例です。辺BC上のDの位置は例1、例2、例3、例4の順にCに接近します。なお、問題で示されたDの位置はそのまま図中に残してあります。

(1) ∠BADの変化

  • 例1のD1はD点よりBに近いため∠BAD1は∠BADより小ですが、例2、例3、例4とDがCに近づくにつれて∠BAD大きくなり、例4では60度に近づきます。
  • 逆に点Dを点Bに限りなく接近させると、∠BADは0度に近づき、∠BCA は120度に近づきます。

(2) ∠BDAの変化

  • DがBに接近するにつれ大きくなりB近傍では120度になります。
  • 逆にDがCに接近すると共に小さくなり、例4のようにCの近傍では60度に近づきます。

(3) ∠EBCの変化

  • 設問1により、∠EBC = ∠DAB = ∠BADであることは確認しています。
  • DがBの近傍にある時は0に接近しますが、逆にDがCに近づくにつれて大きくなり、例4のようにCの近づくにつれて60度に近づきます。

(4) 例2ではAからBCに垂線を引きました。∠BD2Aは90度、∠BAD2と∠E2BCは30度なので、∠BF2D2は60度です。

図5 検討用の図

(5) ∠BFDの変化

  • 図6はDがBの近傍からCの近傍まで移動するときの∠BDFと∠FBDの変化の予想です。
  • FBD=BADです。DがBから離れてCに接近すると0から60に向かって増加します。
  • BDF=BDAです。DがBから離れてCに接近すると120から60に向かって減少します。
  • 例2では∠BFDは60度です。

図6

  • 以上の検討から、∠BFDは60度のまま変化しないと結論できそうです。

3.  問題5

体育委員会は,全校生徒の体力向上のために,1週間で420分(1日あたり60分)運動することを目標にしようと考えています。そこで,体育委員会では、全校生徒の1週間の総運動時間を調べるアンケートを実施しました。体育委員の若菜さんは,全校生徒のうち女子の結果を,下の度数分布表にまとめました。

1週間の総運動時間の度数分布表(女子)

階級 (分)

度数 (人)

0 ~ 300

55

300 ~ 600

12

600 ~ 900

26

900 ~ 1200

29

1200 ~ 1500

15

1500 ~ 1800

6

1800 ~ 2100

2

合計

145

次の設問1から設問3までの間いに答えなさい。

3.1  設問1

3.1.1  問題文

1週間の総運動時間の度数分布表(女子)において, 420分が含まれる階級の度数を書きなさい。

3.1.2  解答の検討

420分は300~600分の階級に含まれます。表を見るとその階級の度数は12です。したがって求める度数は12です。

3.2.1  問題文

若菜さんは, 女子の1週間の総運動時間について調べたことを, 次のようにまとめました(7)。

若菜さんが調べたこと

図7 調査したこと

若菜さんの1週間の総運動時間は670分です。全校生徒の女子の中で、若菜さんの1週間の総運動時間より長い人が多いのか、短い人が多いのかは、670分をある値と比べることでわかります。その値が、下のアからオまでの中にあります。それを1つ選びなさい。

ア          平均値

イ          中央値

ウ          最頻値

工          最大値

オ          最小値

3.2.2  解答の検討

知りたいのは、自分より運動時間の多い生徒の数と、自分より少ない運動時間の生徒の数です。厳密に求めるなら、全員の運動時間を670と比較し、多い方と少ない方とに振り分け、それぞれの人数を数えねばなりません。なお、必要ならこの計算は各人ごとに行わねばなりません。料理で言えば特別にあつらえる料理ですから、手間がかかります。

それに対して、標準的な料理のメニューがあります。この設問にある平均値、中央値、最頻値、最大値、最小値などです。これらは一回計算するだけで済みますが、ある程度のことしかわかりません。

  • 平均値は女子の運動時間の総和を女子の数で割った値です。自分の運動時間より長い人が多いか、短い人が多いかの判断には適しません。
  • 中央値を求めるには、全員の運動時間を大きい順、又は小さい順に一列に並べ、その並びの中央の位置の値を求めます。この値が670より小さいなら、若菜さんは運動時間の多いグループに属すると言えます。
  • 最頻値は、最も人数の多い運動時間のことです。
  • 最大値は、人数に関係なく最も大きな運動時間のことです。
  • 最小値は人数に関係なく最も大小さい運動時間のことです。

3.3.1  問題文

若菜さんは,1週間の総運動時間が420分未満と420分以上の女子では、体カテストの合計点に違いがあるのではないかと考えました。そこで、420分未満と420分以上の女子で分けて、体カテストの合計点をまとめた度数分布表をもとに, 相対度数を求め、相対度数の度数分布多角形(度数折れ線)に表しました(8)。

体カテストの合計点の度数分布表

階級(点)

420分未満

420分以上

度数(人)

相対度数

度数(人)

相対度数

10 ~ 20

1

0.02

0

0.00

20 ~ 30

6

0.10

1

0.01

30 ~ 40

18

0.30

6

0.07

40 ~ 50

21

0.35

19

0.22

50 ~ 60

11

0.18

33

0.39

60 ~ 70

3

0.05

23

0.27

70 ~ 80

0

0.0

3

0.04

合計

60

1.0

85

1.0

若菜さんが作った度数分布多角形

図8.相対度数表示

若菜さんが作った度数分布多角形から,「1週間の総運動時間が420分以上の女子は,420分未満の女子より体カテストの合計点が高い傾向にある」と主張することができます。そのように主張することができる理由を,若菜さんが作った度数分布多角形の2つの度数分布多角形の特徴と比較して説明しなさい。

3.3.2  解答の検討

  • 折れ線の変化の傾向はほぼおなじです。
  • 420分以上の運動をするグループは得点が10点は高い。2つの折れ線で最大度数の位置の得点は、420分以下のグループの得点が40-50、420分以上の運動をするグループの場合の得点は50-60です。最大度数の次に大きい度数の得点は、420分以下のグループの得点が下位にあるのに対し、420分以上の運動をするグループの場合の得点上位にあります。

3.3.3  疑問

  • この設問では、420分以下のグループと420分以上のグループのそれぞれの中での相対度数を用いています。
  • 前者はグループの合計は60名、後者は85名です。
  • 各グループ内の相対度数は、この60と85で割って求めます。したがって、60で割る方が相対度数は大きくなります。
  • その場合、それぞれのグループの中での比較は意味がありますが、グループ間の比較には注意が必要です。
  • 図9は相対度数ではなく、人数そのもので表した折れ線グラフです。それぞれの折れ線の形は変わりませんが、420分以下のグループの折れ線は低くなっていることが分かります。

9.絶対度数表示

  • 相対度数を用いた出題の意図が分かりかねます。

4.  評価

4.1  私的分析

  • 数学Aと数学Bの問題は目的が全く異なるようです。
  • 数学Bは数学的な手法を使って実際的な問題を解決する能力を試すことに重点を置いています。そのため、数学的な解決手段を使うべき環境あるいは状況の設定の説明が多くなり、生徒はその意図を理解するのに時間を費やすことになります。
  • 数学Aでは、数学的解決手段として何を使うかを迷うことはありません。数の計算、文字式、一次方程式、連立方程式、平面図形など、問題の種類がはっきりしているからです。

4.2  私的見解

  • 数学Aで高得点を得るように勉強すべきだと思います。すなわち、限られた時間内に数学Aの問題を確実に解ける力をつけるべきです。
  • 第一の理由は単純です。数学的解決手段の能力を向上が基本だからです。
  • 工業製品を設計する場合も、選定した部品の精度や信頼度が低いと、まともな動作性能が出ません。たとえ電気回路の動作の仕組みが優れていても、使う部品の性能が低く、ばらつきも大きいと、まともな動作をしないのです。
  • 第二の理由はこうです。実社会では、問題の難しさに応じた時間をかけることが許されるからです。

5.  まとめ

2017年度全国学力テスト数学Bの後半(問題4と問題5)の問題を検討しました。

  • 数学Bでは文章が多いため、何が問われ、何を求めねばならないかを理解するのに時間を要します。
  • 次の段階は、どのような数学的手段で答えを出すべきかを判断しなければなりません。
受験
スポンサーリンク
ご協力よろしくお願いします

この記事良かったと思ったら次の記事を書く励みになりますのでシェアよろしくお願いします。

sin5275をフォローする
関連記事



役に立つ 知識だよ。生活 雑学 情報

コメント

タイトルとURLをコピーしました