平成29年度の福島県ジュニア数学オリンピック問題に挑戦 後編

福島県ジュニア数学オリンピック

平成29年度の福島県ジュニア数学オリンピック問題に挑戦 後編

  • 平成29年度の福島県算数・数学ジュニアオリンピックが10月22日に県内7会場で開催されました。このうち数学の部には422名の中学1、2、3年生が挑戦しました。
  • この試験の結果は11月に発表され、成績優良者として、金賞3名、銀賞9名、銅賞15名、奨励賞11名が発表されました。このうち3年生の受賞者は、金賞3、銀賞4、銅賞9、奨励賞4名で、昨年より減ったようです。
  • 本稿では、全5問のうち、後半の2問を解説します。

1.  はじめに

  • 問題4は、32km離れた川上と川下から同時に船をこぎ出し、2時間後にある地点で出会う場合、川下りをする側の船を漕ぐ速度を求める問題です。
  • 問題5は、8チームが参加して行うトーナメント方式の野球大会の全試合の結果を求める問題です。ただし、各チームの総得点と総失点が与えられますが、一部は空白になっています。
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2.1  福島県ジュニア数学オリンピック問題に挑戦問題文

下の桜さんと健さんの「会話文」の内容をふまえて,問題に答えなさい。

「会話文」

図1

問題

川下に時速5mの速さで流れている川があります。この時速5mを「川の速さ」ということにします。下の図のように,この川の川上(川岸から見て上流の方) にあるA地点には桜さんがいて,A地点から32m川下(川岸から見て下流の方) にあるB地点には,健さんがいます。

桜さんは,川上のA地点から出発し,川下のB地点を目指してボートを漕いで進んでいきます。また,健さんは「健さんのボートの漕ぎ方」にしたがって,川下の B地点から川上のA地点を目指してボートを漕いで進んでいきます。2人は同時に  出発し,ちょうど2時間後に出会いました。

この様子を川岸から見ているものとして,次の設問1と設問2に答えなさい。ただし,川の速さ,2人がボートを漕ぐ速さは,それぞれ常に一定であるものとします。

図2.


健さんのボートの漕ぎ方

  • 健さんは、「10分間漕いで進んだら2分間漕ぐのをやめて休憩する」を繰り返す。休憩している間は、川の速さで下流に進む。
  • 健さんが、休憩している間を除いてボートを漕いで進む速さは、桜さんがボートを漕いで進む速さの2倍である。ただし、「桜さんがボートを漕いで進む速さ」と「健さんが休憩している間を除いてボートを漕いで進む速さ」にはそれぞれ川の速さは含まないものとする。

2.1.1  設問1

2時間後に桜さんと出会うまでに,健さんは何分間漕いで進むことになりますか,求めなさい。

2.1.2  設問2

桜さんがボートを漕いで進む速さは時速何mですか,求めなさい。ただし, 川の流れる速さは含まないものとします。

2.2.1  設問1の解の検討

健君は10分間漕いでから2分間休む動作を2時間繰り返します。別の言い方をするなら、12分間のうち10分間だけ漕いでいるのです。その割合で行くと、120分間のうち、100分間は漕いでいることになります。

2.2.2  設問2の解の検討

  • 桜さんが2時間の間に川を下る距離は 2(5 + x) です。
    • x は桜さんの漕ぐ船の時速です。
    • 5は時間で表した流れの速さ、2は時間です。
  • 健さんが2時間の間に川を上る距離は、以下の式で表されます。
    • (2x—5)(100 / 60) – (20 / 60) 5 = (2x-5)(5/3) -(5/3)=(2x-6)(5/3)
  • 2xは健さんの漕ぐ船の時速です。
  • 5 は流れの速さを時速で表したものです。
  • 100 /60 は100分の時間換算値です。
  • (20 / 60) 5は武さんが休んでいた期間の時間換算値に川の流れの時速をかけたものです。
  • 2つの式を加えます。
    • 2(5 + x) + (2x-6)(5/3) = 2x + (10/3) x = (16/3)x
  • この値が32kmにならねばなりませんので、(16/3)x = 32 と言う方程式を解きます。その結果、x = 6 を得ます。

2.3  問題4の評価

  • 長い文章を読まねばなりません。
  • 設問1はとても簡単です。出題の意図は何なのでしょう。
  • 設問2は丁寧に考えることです。特に川の流れの速さの扱いには注意しなければなりません。

3.  問題5

12チームがトーナメント方式で行う野球試合の全てについて、試合の得点と失点を求める問題です。ただし、問題では総得点と総失点が与えられていますが、個々の試合の得失点は示されていません。また総得点と総失点についても、一部は空白となっており示されていません。

3.1  問題文

AからHの8チームが,下の「トーナメント」にしたがって野球の試合を行いま した。すべての試合結果に引き分けはなく,勝敗が決まりました。また,5.1 は,全試合終了後の各チームの「得点の合計」と「失点の合計」を確認して整理しているところで,空欄の5ヵ所はまだ確認できていないところです。

このとき,次の設問1から設問3までの各問いに答えなさい。

図3 トーナメント式試合

表1得失点表

チーム得点の合計失点の合計

A

4

5

B

7

C

7

D

2

E

3

 要解答

F

4

4

G

5

5

H

 要解答

1

3.1.1  設問1

①から④までの1回戦では,A対B,C対D,E対F,G対Hの試合が行われました。①から④までの試合で勝ったチームをすべて答えなさい。

3.1.2  設問2

Hチームの「得点の合計」は何点ですか,また,Eチームの「失点の合計」は何点ですか,それぞれ求めなさい。

3.1.3  設問3

⑦の決勝戦で対戦したチームはどのチームとどのチームですか,答えなさい。また,結果はどうなりましたか,解答欄の書き方にしたがって答えなさい。

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3.2  検討

3.2.1  設問1の解の検討

  • 1回戦で負けたチームの判定方法
    • 判定条件1
      • 勝ったチームの総得点は、負けたチームの総失点より大きい。
    • 判定条件2
      • 勝ったチームの総失点は、負けたチームの総得点より大きい。
    • 1回戦で勝ったチームの判定方法
      • 判定条件3
        • 負けたチームの総得点は、勝ったチームの総失点より小さい。
      • 判定条件4
        • 負けたチームの総失点は、勝ったチームの総得点より小さい。
      • 条件1は、勝ったチームは2回戦以後も得点したことを示します。
      • 条件2は、勝ったチームは2回戦以後も失点したことを示します。
      • 条件3は、勝ったチームは2回戦以後も失点したことを示します。条件2の別表現です。
      • 条件4は、勝ったチームは2回戦以後も得点したことを示します。条件1の別表現です。

表2. 試合の結果のまとめ

チーム総得点総失点条件説明

A

4

5

条件34対5で負け。

B

7

4+y

条件15対4で勝ち、2対yで負け。

C

x+y+5

7

条件2x対2、y対2、5対3でいずれも勝ち。

D

2

x

条件32対xで負け。

E

3

4

条件33対4で負け。

F

4

4

条件24対3で勝ち,0対1で負け。

G

5

5

条件11対0、1対0で勝ち、3対5で負け。

H

0

1

条件40対1で負け。

前記の条件を適用すると、1回戦で負けたチームは、A、D、E、Hの角チームです。2の赤字のチームは1回戦で負けたことを示します。

3.2.2  設問2の解の検討

設問2では、Hチームの得点の合計と、Eチームの失点の合計を求めます。

  • Hチームは一回戦でGチームに負けています。判定条件1で判定できます。しかも失点1で負けているので、自チームの「得点は0」です。
  • Eチームは1回線でFチームと戦って負けています。判定条件2で判定できます。自チームの得点は3ですので失点は4以上です。
  • 勝ったFチームは2回戦でGチームと戦っています。総失点は4ですが1回戦で3点を失っているので、2回戦での失点は1点です。それで敗けたのですから、得点は0です。すなわち0対1で負けたのです。このことから、Eチームの失点は4です。

3.2.3  設問3の検討

設問3では、決勝戦で対戦したチームと試合結果を答えます。

  • Gチームは1回戦を1対0でHチームに勝ち、2回戦も1対0でFチームに勝っています。総得点は5、総失点は5から判断し、決勝戦での得点は3、失点は5です。すなわち決勝では3対5で負けました。
  • Gチームの決勝戦の相手は誰でしょう。BかCチームです。2回戦での両チームの戦いの結果を調べる必要があります。
  • 先ずBチームです。総得点は7ですが総失点は不明です。1回戦に5点を取っていますので、2回戦以後の得点は2点です。ところが決勝戦の相手には5点もとられているのですから、Bチームは2回戦で負けたのです。
  • 残るのはCチームです。Cチームは一回戦と2回戦で共に2失点でした。総失点が7点なので、決勝戦の失点は3点です。決勝戦の相手のGチームは3得点、5失点ですから、Cチームの得点は5点です。
  • 解答はここまででの検討で十分です。決勝戦はCチームとGチームの間で行われ、5対3でCチームが勝ちました。

3.3  問題5の評価

  • この問題を解くには、条件1、条件2などの勝敗判定規則を整理する能力が必要です。
  • 図4にトーナメント方式の試合の全体像をまとめました。

図4. 全試合のまとめ

4.  まとめ

  • 福島県教育委員会の数学ジュニアオリンピック2017の問題のうち、本稿では後半の問題4、問題5の内容の紹介と筆者の解答案を説明しました。
  • ジュニアオリンピックの問題は、算数でも数学でも数学的知識の有無より、比較的長い文章を読んで解決方法を考え出す能力を重視しています。考える力に関しては小中学生の域を超え、高校生、大学生、社会人なども挑戦する価値があると思います。
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