共学高校、男子高校・女子高校どれが人生に良いか?

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共学高校、男子高校・女子高校どれが人生に良いか?

人生で最も夢の多い高校時代をどう過ごすかは各人の人生を大きく左右します。

もちろん、各人の人生のよしあしは国家社会とも無関係ではありません。

高校生が力強く向上する環境を用意してあげたいものです。

人類の歴史に関心をもつ市井の人の立場から人類の劣化を危惧しています。

近年は女性の権利を主張する勢力の意見に押され、何でも男女が等しく扱われる社会へと変えようとする強い動きを感じます。

しかし神は男と女を全く等しくは造られてはいません。

改善すべきことは多々あるでしょうが、男女の本質的な差を無視した改変は、長い時の流れで見たら失敗する可能性が高いのではないでしょうか。

本稿では私が住む福島県を例に、男子高と女子高から男女共学高への変更の是非について考えたいと思います。

福島県は2000年を迎えた頃、県立の男子校と女子高をすべて共学に変えたからです。

1.  はじめに 質の高い技術者の必要性

私は人生の大半を大学での計算機科学の研究に費やしましたが、大学を卒業した後の13年間は計算機メーカーで大型コンピュータの開発に従事しました。

当時はコンピュータ産業の興隆期で、コンピュータ本体の開発のほか、情報処理システムやソフトウェアの開発部門に多くの人材を投入していました。

大型計算機の開発業務を通して関係した人々の多くは、人としても、考え方の深さや広さにおいても、知識・技術の点においても、字や文章の書き方、仕事への取り組む姿勢においても、それぞれの人は個性的でした。

当初、計算機械として使われたコンピュータは、情報を集めて処理する機械へと進化していきます。大阪万博が開催される頃には、通信回線で接続された多数の端末機と情報を授受する情報処理システムへと進化していきます。国鉄の座席予約システムは代表的なオンライン即時処理システムの例です。

事業の拡大で私も通信端末機の開発部門に移動をめいじられます。端末機の設計にマイクロプロセッサが使用され始めていた頃です。大型計算機しか経験のない私は、端末機の設計を通して、大型計算機の開発とは異質な技術が必要なことを知りました。端末機の設計には情報処理技術のほか、通信技術、人間工学の知識、表示や印刷の技術、静電気や磁気現象の知識など、多種多様な技術を必要とするのです。それらの技術は一挙に習得するのは困難です。電気工学と情報工学に精通した人材の必要性を強く感じました。

大学に移る一年ほどの前は大手旅行会社の専用端末機の通信制御装置の初期段階の設計を担当していました。上司は私の二期先輩の方でしたが、「女房の頭が良くないと子供の教育で苦労するよ」と折に触れて話してくれました。有名私大の出身の方でしたが、子どもの教育で悩みを抱えていたのかもしれません。私も同意見です。

2.  高校は誰のためにあるか

県立高校は県の所有かもしれませんが、広く県民のものであり、創立以来の数多くの卒業生のものでもあり、卒業生の父兄のものでもあります。さらには、在校生のものであり、入学をめざす子どもたちのものでもあります。

教育委員会のみの判断で重要事項を決めるのは問題です。

2.1  教育の拠点として

高校の存在は地域における学びの拠点としての価値があります。義務教育よりはるかに高い水準の教育をするからです。

2.2  スポーツや芸術活動の拠点として

高校生の課外活動を通して、各種のスポーツの拠点、芸術の拠点としての価値もあります。

2.3  在学生のために

現在の在学生が受ける利益は、その高校の教育を受けることです。就職や進学などの進路指導も生徒が受ける恩恵の1つです。その高校の受験環境も受ける恩恵であることを認識すべきです。生徒同士の競い合いや先生の熱心な指導は他では得られない恩恵です。

2.4  入学を目指すすべての小中学生のために

入学を目指して学んでいる生徒に進歩を促します。その高校が高い山であるほど、志望者は向上のため頑張ります。

2.5  卒業生のために

卒業生にとって母校は生涯にわたる自己の原点です。母校の大幅な変容や喪失は精神的な打撃です。逆に、自分が何才になろうとも、母校の発展は生きるための勇気を与えてくれます。

2.6  父兄のために

高校は在学生・卒業生の父兄のためにあります。その高校が高い山であるほど、子弟が卒業して何年たとうとも、父兄で会ったことを誇りにして生きるのです。

2.7  地域の人々のために

地域の人々は当該高校の地元ということを誇りにして生活しています。

3.  福島県の伝統高

創設時から、またはそれに準じる制度改革がなされて以来、男女共学の歴史を歩んできた高校は問題はありませんが、男子高や女子高から男女共学高への変更は熟慮が必要です。

福島県は1に示すように、気候風土や歴史的背景の異なる三つの地域からなります。西部の会津地方、中央部で福島盆地と郡山盆地を南北を貫く中通り地方、広大な阿武隈山地の東側に位置し、太平洋に面する浜通り地方です。会津地方と中通り地方とは奥羽山脈の山々が境界になっています。

図1. 福島県の著名な伝統高校

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3.1  中通り地方の高校

中通り地方は東北6県の背骨に相当する基幹交通路を形成する地域で、東北新幹線、東北自動車道、国道4号が走っています。福島県の約200万人の人口の半分以上がこの中通り地域に住んでいます。

3.1.1  福島市

  • 宮城県と山形県に接する福島盆地には人口約29万人の福島市があります。西隣には人口約6万人の伊達市、南隣には山を越えると人口5.5万人の二本松市があります。この地域は隣県の宮城県との関係が強いように思われます。
  • 福島市の伝統高校は福島高校と福島女子高校でした。

3.1.2 郡山市

  • 郡山盆地は、北は二本松市から南は白河市にいたる大きな盆地です。東西の境は阿武隈高地と奥羽山脈です。県の東西南北を結ぶ交通の要衝の地です。
  • 郡山市は郡山盆地の中央に位置する人口約5万人の市です。北隣には人口3万人の本宮市、南隣には人口約7.5万人の須賀川市があります。これらを合わせるとおよその人口が45万人の地域になります。
  • 市内の伝統高は安積高校と安積女子高校でした。

3.1.3  白河市

  • 郡山市から南に下ると東北の玄関口に相当する人口約6万人の白河市があります。那須連峰の北側にあります。
  • 白河市の伝統校は白河高校と白河女子高校でした。

3.1.4  私立高校

中通り地方の私立の進学高には、福島市にある学法福島高校、郡山市にある日大東北高校、中通り南部の石川町にある学法石川高校などがあります。いずれも男女共学の高校です。

3.2  会津地方の高校

  • 会津若松市は会津盆地の中央に位置する人口約12万人の市です。北隣には、およその人口が5万人の喜多方市があります。
  • 会津若松市の伝統高は会津高校と会津女子高校でした。

3.3  浜通り地方の高校

  • 太平洋に接する長い海岸線をもつ浜通り地方は北部で宮城県に接し、南部では茨城県に接しています。
  • 北部の中心は相馬市と南相馬市です。
  • 南部の中心は人口およそ5万人のいわき市です。古くは常磐炭鉱で、現在は小名浜港を背後にもつ工業都市です。
  • この地域の伝統高は磐城高校と磐城女子高校でした。

4.  福島県内の大学

  • 男子を親元を離れた地で学ばせることは独立心を養うためには意義あることです。まして東京など活発に活動をしている地で学べば、書物では得られない社会勉強になるでしょう。
  • しかし、様々な理由で地元の大学に進学せざるを得ない場合もあります。

4.1  福島市内の大学

  • 福島市内には下記の大学があります。福島市は県庁所在地のためでしょうか。下記のように国立大学や県立大学が中心です。
    • 国立大学法人福島大学
    • 福島県立医科大学
    • 桜の聖母短期大学
    • 福島学院大学
  • 近年、福島大学の学部の構成は強化され、教育、行政、法律、経済、工学など専門分野があります。
  • 県立医大は医学部門のほか看護学部も増設しています。

4.2  郡山市内の大学

  • 郡山市内には下記の私立大学があります。
    • 奥羽大学(歯学部、薬学部)
    • 日本大学工学部
    • 郡山女子大学・短期大学
  • 日大工学部の約1,000名の入学者のうち、県内出身者が半分、残りの半分は周辺の県からの入学者です。このうち付属日大東北高校からの入学者はおよそ100名です。

4.3  会津若松市内の大学

  • 会津若松市には下記の大学があります。
    • 福島県立会津大学
    • 会津大学短期大学部
  • 平成五年に設立された県立会津大学はコンピュータ関係を専門とする大学で、外国人教員が多いほか、講義の半数は英語でなされている国際性の高い大学です。

4.4  いわき市内の大学

  • いわき市内には下記の私立大学があります。
    • いわき明星大学
    • 東日本国際大学・いわき短期大学
  • いわき明星大学は、教養学部と人文学部のほか、薬学部、看護学部を設置しています。工科系の学部は廃止しました。

5.  大学進学の傾向

詳細には分析していませんが著名な大学への進学は東大を含めて低下しているように思います。

5.1  国公立大学

  • 近くて高い峰は東北大学です。
  • 県内の大学の進学先は、福島大学、福島県立医大、県立会津大学です。県立医大は看護学部が開設した関係で進学者が増えています。
  • 周辺県の国立大学では、山形大学、新潟大学、茨城大学、宇都宮大学、筑波大学などです。
  • 青森や秋田の大学への進学は僅かです。
  • 東京大学へ進学する高校は限られ、しかも進学者数が減っているようです。
  • 東京大学以外の東京都周辺の国公立大学への入学者は多くはありません。千葉大学、横浜国立大学、東京農工大学、東京工業大学などです。

5.2  東北の私立大学

東北学院大学、東北福祉大学などへの進学者は県北の高校に多いようです。

5.3  東京の私立大学

  • 早大に比べて慶大への進学者はやや少ないようです。
  • 上智大、東京理科大への進学者は少ないようです。
  • 郡山市に日大工学部があり、その付属東北高校からの日大進学者は特に多いのが特徴です。地元の工学部への進学者は90名から100名程度、他学部への進学者は130名程度です。
  • 明大、法大、立教大、中央大、青山大などに進学します。
  • 東洋大、専修大、駒大、東海大、神奈川大などへも進学しています。
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6.  福島県は男子高・女子高をすべて共学高に

6.1  高校の制度改革

  • 表1に示すように、福島県は紀元2,000年前後に県内の公立高校の男子高、女子高のすべてを共学の高校に変更しました。
  • 男子高の名称はそのまま残し、女子高の名称は変更しました。
  • 今後の社会は男性だけでなく女性も社会に出て、力を合わせて生きていかねばなりません。そのことを高校教育でも実践するためでしょうか。あるいは公立高校はすべて平準化し、エリートの高校を作らないためでしょうか。
  • 女子高の価値は大学の進学率や国公立大学への進学者の多少ではないと思います。古い言い方ですが、あの学校を卒業した人ならぜひ息子の嫁にと言われるような卒業生を輩出してほしいのです。冒頭に述べましたが、子どもの教育で悩まないためには高い知性をもつ妻や母が必要です。

表1. 伝統高を含めて男女共学高化

所在地

共学に変更前の名称

共学に変更後の名称

偏差値ほか

福島市

29万人

福島高校 男子高福島高校非常に高
福島女子高校橘高校

郡山市

33万人

安積高校 男子高安積高校非常に高
安積女子高校安積黎明高校

会津若松市

17万人

会津高校 男子高会津高校
会津女子高校葵高校低下か

白河市

6万人

白河高校 男子高白河高校やや高
白河女子高校白河旭高校低下か

いわき市

34万人

磐城高校 男子高磐城高校
磐城女子高校磐城桜が丘高校低下か
  • 制度改革の影響は市の人口の多少により異なるようです。福島市と郡山市の場合は水準に大きな変化はないようですが、人口の少ない会津若松市や白河市では看過できない差が生じているようです。
  • いわき市は人口が多いのですが、私立高校の躍進もあって伝統校の水準が落ちているようです。

6.2  私見

男子高と女子高を廃してすべて共学高にすることに対する私の意見です。

6.2.1  伝統の尊重

高校は県の所有物でなく広く県民の財産と見るなら、そして長い伝統と多数の校友の事を考えると、男子高、女子高として長い伝統のある高校の共学化は、私ならしません。長期的視点で考えると伝統は大切だからです。伝統を無視してよい場合とは、制度の改変が次の社会への準備に不可欠な場合だけです。

6.2.2  学力差による教え方の違い

  • 図2は学力格差について示す二つの状態です。クラスAは普通のクラス、クラスBは水準の低いクラスです。
  • クラスAは中位の人数が大きく、上位はそれほど多くなく、下位は上位と同じかやや少ない分布のクラスです。
  • クラスBは中位の割合が大幅に減り、上位の割合も減り、下位が大幅に大きい分布です。

図2 格差の発生

  • 図2の分布を三角形を使った近似でさらに分解したものが3です。理解力の低い方から高い方の順にa、b、c、dの三角形で分解します。
  • クラスAではcとdの三角形が主体です。講義や授業はこの学生たちを主体にして行うことができます。

図3 学力さによる教え方の違い

  • クラスBでは、生徒の能力の主体がbとcの三角形になっています。しかもcの割合は小さくなっています。講義・授業はこの学生たちを主体にして行わねばなりません。すなわち、水準の高い教育の実施は難しくなります。

6.2.3  共学高化することによる学力差の発生

平等を徹底しすぎると水準の低下を引き起こします。上位と下位を混ぜると、多くの場合に水準が低下します。

図4は男子高と女子高を2つの共学高校に変更した場合です。

  • 制度の変更がなかったらB女子高を受けたであろう女生徒の中には、国立大学への進学を希望する人がいます。教育学部、医学部、看護学部などへの進学希望者は多いかもしれません。
  • これらの人は共学になったB高校を受験するでしょうか。学力に自身のある生徒はA高校を選ぶでしょう。
  • B女子高の伝統を重んじる女生徒はB共学高を選ぶでしょうが、現在の日本社会で伝統を重んじる生徒がどれだけいるでしょうか。
  • A男子高の受験希望者は、国公立大か有名私大への進学希望かに関わらず、A共学高を選ぶでしょう。
  • この推論の結果は明らかです。A高校に学力の高い生徒が集まります。

図4 共学化による格差の発生

6.3  学びのエリート校の必要性

  • 日本人の劣化が進行しているようです。国の将来を考えれば、この劣化を防がねばなりません。優れた人材の育成は大切です。米国のように金融立国の国とは異なり、日本の存続の基本は工業立国としての成長です。本稿の冒頭部分でのべましたが、工学部門の研究者、開発者、技術者の育成が特に必要です。
  • 福島県は数学教育に力を入れているようですが、学力テストで観る限り目立った成果は出てないようです。
  • 県教育委員会の決定で、郡山市にある伝統校の安積高校(安高)と安積女子高校(安女)が男女共学高になり、学力に関して似た水準の高校が二つ誕生しました。
  • 伝統的には、安積高校は誇るべき人材を多数輩出しています。共学高化により男子高の伝統は途切れることは残念ですが、女生徒も覚悟して入学するでしょうから、これまでの教育を継続できるでしょう。
  • 安積女子高は才女に見合った男性との結婚を通して有意な後継者を産んで育てた実績があります。共学高化で才女の教育より進学に重きを置く高校に変わることは残念なことです。

7. まとめ

私は昭和30年代前半に男女共学の高校で学びました。女生徒の数は少ないものの男女共学です。大学受験に集中していたこともあって、共学に何の違和感もありませんでした。現在でも創立以来共学の高校は大きな問題はないでしょう。問題は男女別学の高校が共学高に変わる場合です。

  • 20世紀が終わるまでの福島県では、県の拠点地域の高校は男女別学でした。それぞれの高校には長い伝統があり、地域の人々の尊敬を集めていました。
  • 社会の変化で女子の四年制大学への進学が増えて来ました。21世紀になるやいなや伝統校の男女別学を廃し、男女共学の高校に変えました。
  • 有名大学への進学を重視すれば男子高だった共学高に成績の良い女生徒が入学し、旧女子高の水準が下がる可能性があります。本文中で説明しましたが、下がり方によっては予期できない程の低下をします。
  • あの女子高を出た娘さんなら結婚してもよい、嫁にしたい・・・と言われてきた女子高の伝統が壊れそうな気配です。生まれる子供が母親の影響を強く受けることを考えると、長い目で見たとき男女共学化が人の劣化の原因にならないことを祈ります。なぜならこどもへの母の影響は大きいからです。

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