文系、理系なぜ分ける? その歴史と現状

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文系、理系なぜ分ける? その歴史と現状

【文系ですか?理系ですか?】

多くの方が様々な場面、さまざまな形でこの類の質問を受けたことがあるかと思います。現代の日本社会における文理の選択は、進学する大学の学部のみならず、就職先の職種を考える上でも、人々の将来に大きく影響を与えているといえるでしょう。

 

私自身は「虫とか見てるの好きだな…」と、将来のことはあまり考えずに、その場の勢いで理系(生物系)を選択して、農学部に進学しました。その選択を今までに後悔したこともありますし、やはりこれでよかったかなとも思います。しかし改めて考えると、世の中は学問領域で割り切れるものではないのになぜ私は分類されなければいけなかったのか!とちょっと憤りを感じたりします。現に大学へ入学してから様々な学問領域のことを知ったり、学問の分野横断が昨今のトレンドだったりすることを知ってみると、高校生の時点で文理の選択を迫られるのは時期尚早なのではないか?と疑問をいだきます。

 

そこで「なぜ私は文理選択をさせられたのか?」という疑問を出発点に、文理選択に関する教育システム上の意味や、文理選択に関する調査結果を紹介したいと思います。

 

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【文理を分ける理由】

日本の歴史上、最も古い教育制度である「学制(1872年)」においては文理の区別はなかったようです。しかし9年後の1881年に「中学校教則大綱」で初めて文理の区別が行われました。ちなみにここでは中学校という言葉が使われていますが、実際のところは現代の中高一貫校に当たります。一説によると、文理がわかれた理由は、実験設備や試薬等の準備に多額の資金が必要な理科系の学生数を制限するため(橋爪. 1997)、とも言われたりしています。

 

「専門分化と細分化という20世紀に徹底した国際的・国内的な学術の動向と制度が、文理の分離という我が国の文化的心性とも相呼応して、長年にわたる学際性の掛け声にも関わらず、文理融合の大きな足かせになっている。」

 

これは1996年に発刊された「学術会議は考える」より当時日本学術会議副会長を務めた吉田民人氏の文章です。90年代から学際的・分野横断型研究の推進はなされているものの、なかなかに実現が難しいことからも、文系・理系の分断を埋めることの困難さを物語っています。

 

 

【文理選択に関する調査結果の紹介】

なんにせよ文理の決別は日本の教育制度の初期から(戦時中の教育観は特殊であったといえ)綿々と続いてきました。教育資源の投資配分を考えると、確かに合理的なシステムといえる文理選択。しかし実際に教育を受ける側にとってはどうなのでしょうか。わずかながら、下記のウェブサイトでは文理選択の是非に関する貴重な調査結果が報告されていました。

 

高校で決める必要があるのか?グラフでみる文系・理系を分ける必要性(学業)|t-news
大学生の皆さんのうち多くが、高校時代に「文系か理系か」を選択した経験があると思います。そしてその選択の結果として、今の学業や、場合によ...

大学生へのアンケート結果(n=280)

賛成68%、反対32%

 

http://www.keinet.ne.jp/gl/13/11/toku_1311.pdf

大学3年生以上へのアンケート結果(n=647)

賛成約53%、反対18%

 

これらのアンケートでは賛成が反対を大きく上回っており、多くの人が文理は高校の時点で分けたほうがよいという結果となっていました。keinetの調査では賛成・反対の理由が抜粋されており、その内容を以下にまとめました。

 

賛成派

・現行の入試制度では文理を分けて教育を行うことは勉強の効率がよい

・早い学年から専門知識を学ぶことは社会に出てからの即戦力を鍛えることになる

 

反対派

・文系でも理系の知識が必要

・理系でも文系の知識が必要

 

賛成派の2つ目に関しては完全に文理を分けたほうがよいという立場ですが、1つめの意見では「現行の入試制度では」と断りが入っているのが印象的でした。大学ごとに異なる入試制度ではありますが、ほとんどの大学は「国語」や「数学」というように文理を分けた科目を課しています。実際の回答者が「現行とは異なる入試制度」がどのようなものなのかを想定していたのかは分かりませんが、入試科目が融合したりすると面白いかもしれません。もう高校の科目の内容をあまり覚えていないので、いまいち思いつきませんが、「ワトソンとクリックの2重らせん構造について、その内容と歴史的背景について論述せよ」といった国語と生物の融合科目があってもいいのかな、などと考えてみました。

 

 

【結びに】

文理の分断の歴史がかなり古いことをふまえると、その教育制度で育ってきた世代、つまりほとんどの世代にとっては、文理の垣根が高いのは当然の結果だと思います。そして文理分断教育の是非に関する調査で、分離したほうが良いと考える人のほうが多い傾向にあるのも納得です。

AO入試や2020年度のセンター試験廃止など、現行の入試システムが変革期を迎え始めていますが、これからも文理は分断され続けていくのでしょうか。それとも文系・理系などという言葉が存在しない社会がいつかやってくるのでしょうか。

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