好適環境水とは? 海水魚と淡水魚が同じ水槽で養殖できる

科学

今回注目の記事は、海水魚と淡水魚が同じ水槽で養殖できる「好適環境水」とはです。

皆さん、「エンゼルフィッシュ」と「金魚」が同じ水槽の中を泳いでいるシーンを思い浮かべられるでしょうか?

「まさか海水魚と淡水魚が同じ水の水槽で泳ぐなんて!」と思われるかもしれませんが、実はすでに実用化されているところがあるんです

その名も「好適環境水」の水であれば両魚種を同じ水槽で一緒に飼育することが可能となっています。

そのカラクリを知るためには、まず海水魚、淡水魚が何に影響されて「スミカ」を区分しているのかを理解しなくてはなりません。

ここでは、その理解からご紹介し、好適環境水のメリットと将来考えられる活用方法をご紹介したいと思います。

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海水魚と淡水魚の違いとは?

初歩的な話から始めますが、海水魚は海水でしか生息しない魚淡水魚は、川、池、湖沼でしか生息できない魚になります。

また、アユ、サケ、ウナギ等は、淡水域と海水域を行き来することで生涯を送るものがあります。

まず海水は、その塩分濃度について平均して約3.3%~3.5%の塩分濃度です。

これは相当高い塩分濃度と言えます。

更に淡水での塩分濃度は0.05%以下ということですから、その差は100倍以上の濃度差になります。

塩分と言っても、最も重要なものはナトリウムの問題です。

このナトリウムがイオン状態で魚体に入り込むことで種々の問題を起こしてしまうのです。

そこで、海水魚も淡水魚もこのナトリウムを吸排(吸収・排泄)する「ナトリウムポンプ」という機能を持っています。

海水魚の場合でも淡水魚の場合でも、体内における塩分濃度は共に約0.9%となっています。

この濃度に比べて外の環境が高い濃度であれば体液成分が外に出て行きますし、逆に環境が低い濃度であれば体内に外の液体成分が流れ込むことになります。

いわゆる「浸透圧」の問題です。

この浸透圧を調整するために、魚類では「エラ」「腎臓」「腸」の仕組が備わっています。

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淡水魚の場合の体液調整方法

淡水魚の場合には、殆ど塩分濃度の無い淡水に棲むことから、外からの水分が体内に侵入してきます。

そのため、淡水魚自身は水分を摂取することはありません

外から進入する水分から、身体に必要な栄養素や酸素を供給する機能があります。

また、余分な大量の水分は、「尿」として体外に排出される機能も併せ持っています。

更には、腎臓・腸の機能により適切な塩分を回収し、エラからも水中の僅かな塩分を取り込み魚体と淡水環境との浸透圧を保持するように出来ています。

海水魚の場合の体液調整方法

海水魚の場合には、その環境が海水で高い塩分濃度を示すことから、体液が外に向かって流れ出ると言う方向に働きます。

そこで、海水魚は大量に海水を摂取することで、水分を補給して脱水状態を免れています。

腸での吸収による海水の水分は血液に入り、腎臓で塩分が抽出され魚体にとって不要な塩分は尿として排出される仕組みになっています。

また、エラによっても塩分を体外に出す仕組みもあります。

淡水・海水を行き来する魚の体液調整方法

サケ、アユ、ウナギ等の場合には、体の浸透圧を外的環境に依存して調整できる仕組みがあります。

切り替える場合には、いきなり淡水環境から海水環境、海水環境から淡水環境に移動するのではなく、暫く適当な期間に「汽水域」で体を慣らしてから環境を変えていきます。

汽水域とは河口近辺で、海の海水と川からの淡水が混ざり合った場所のことを言います。

サケやアユウナギはこうして淡水、海水を行き来しますが、分類上淡水魚に分類されています。

注目の「好適環境水」とは

以上のように、海水魚、淡水魚の周辺環境との調整方法を解説しましたが、この好適環境水と言うのは、「魚が正常な代謝を可能とするために最小限必要な電解質を含ませた人工飼育水」と説明されています。

つまり、簡単に言うと、この好適環境水の濃度は魚の体内塩分濃度に近い為、浸透圧の差による体へのストレスが少なく、好適な成育環境を醸し出すことが可能ということになります。

魚体へのストレスが少ないと言う点からも魚の成育も早まると言う結果も出ています。

この好適環境水の研究は日本では岡山理科大学が進んでいますが、世界的にも研究が進められている最中です。

好適環境水がもたらす未来

このように1種類の水で海水魚、淡水魚等を飼育できることで、未来はどう変わるのでしょうか。

第一に、海水の無い山間部、砂漠地帯等での養殖漁業が可能になると言うことです。

日本などの山間部が国土の大きな部分を占める国にとって、山奥でハマチの養殖が可能ということになります。

また、アラブ諸国でも内陸の広大な砂漠地帯のオアシス近辺で水さえ供給できる環境であれば海水魚の養殖が可能ということになります。

第二に、エンターテインメント系では、水族館でのコスト低減や一般アクアリウムが簡単に設置できるということになります。

海水を必要としない部分で、随分とコストが下がると言うことになります。

このように、好適環境水が一般に安価に普及すれば今まで考えられなかった漁業やエンターテインメントを実現できることになります。

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